お笑いコンビ、ピース又吉直樹(35)の小説「火花」が16日、第153回芥川賞(日本文学振興会主催)を受賞した。都内で選考会が行われ、羽田圭介氏の「スクラップ・アンド・ビルド」とともに受賞を射止めた。お笑いタレントの同賞受賞は初めての快挙。

 1回目の投票でトップの票を獲得しての堂々たる受賞だった。9人の選考委員を代表して会見した作家山田詠美氏は「どうしても書かざるを得ない切実なものが迫ってくる。欠点も多々あるが、何か強いものを感じて、主人公と先輩とのまさに火花がよく書けていた」。選考委員からは「1行1行にとてもコストがかかっている」と評価する声もあったという。

 お笑いタレントとして初の快挙に、山田氏は「その人の職業については、選考会ではほとんど出なかった。どんな世界も小説にする普遍性を選考委員の先生方は読み取ったと思う」。又吉が敬愛する太宰治や、山田氏も受賞できなかった芥川賞。初の作品で射止めた又吉に、山田氏は「又吉君うらやましい」と笑顔で祝福した。