吉本興業が「芸人のタマゴ」たちへの薬物講習会を初公開した。都内で30日、運営するタレント養成学校、東京NSC(吉本総合芸能学院)生徒約250人に対し「危険ドラッグ撲滅講習会」を開催した。芸能界にも薬物汚染が広まり、コンプライアンスの意識が高まる中、未来のスター候補に倫理意識を徹底させた。吉本では以前から年に3、4回、生徒らに向け薬物の危険性などに関するコンプライアンス講習や研修を開催してきたが、報道陣に公開したことはなかった。この日の講習会では、薬物事件などを担当する警視庁組織犯罪対策5課の警部も講師として出席。「1回の過ちが人生を台無しにしてしまう」などと危険ドラッグや違法薬物の恐ろしさを説明した。

 警部らは、薬物に手を染めるきっかけや、危険ドラッグ吸引による具体的な事故の事例などを詳しく解説。お笑い芸人を目指す生徒らが多いが、この日は真剣にノートをとるなどして聴き入っていた。

 芸能人は違法薬物使用で捕まれば、即ニュースとなる。警視庁の同課OBで、この日特別講師を務めた長沼繁雄さん(64)は「1度警察に捕まると、社会復帰に数年かかる。身体に合ってしまうと、いけないとわかっていてもやめられない」と覚せい剤などの危険性を訴えた。

 受講した米国出身のお笑いコンビ、ステファン哲のボケ担当、アメリカン哲(24)は「カリフォルニアでは大麻は違法ですが、日常にあふれていた。日本とアメリカの文化の差など勉強になりました。あらためて危ないものと感じました」と話した。【上田悠太】