007シリーズの最新作「スペクター」の公開を間近に控えた主演のダニエル・クレイグ(47)が、次作品への復帰を否定した。本作でシリーズ4度目の主演となるクレイグは、英タイムアウト誌のインタビューで次作品への復帰について聞かれると「このグラスを割って、手首を切ったほうがましだ」とこれまでにないほど否定的な反応を示した上で、「今の時点では、次作品に復帰するつもりはまったくない。もう、007映画はこれで終わり。今はただ、前に進みたいだけだ」とキッパリと語った。

 将来的にボンド役で復帰する可能性については「何も考えていない。少なくともあと1、2年は何も考えたくない。次のステップもわからない。誰も知るわけがない。今の時点では、我々関係者の中ではすべて終わっている。誰とも、何も話し合っているわけじゃないが、もしまた007映画をやるとしたら、それはお金のためだけだ」と語った。クレイグがここまでシビアに本音を語ったのは、今回が初めてのことだ。

 クレイグは同インタビューで自ら「正式には、あと1作品やる契約になっていた」と認めたものの、制作を必死で急ぐスタジオ側から、2作品を交互に撮影する話が出た時は、さすがについていけなくなったことを明かした。制作側の創造的なアイデアが枯渇してきていることも、感じていたという。

 今年6月には、クレイグが「スペクター」を最後にボンド役から退くことを決断したとのうわさも浮上したが、ソニー側は契約が残っていることを理由にこれを否定していた。すでに次の主演有力候補としてダミアン・ルイスやマイケル・ファスベンダーらの名前が挙がっているが、クレイグは、「どうもでいいね。幸運を祈るよ! 大事なことは、彼らがさらにいい作品にしてくれるかどうかだけだ」とコメント。アドバイスとしては、「自分の限界に挑戦すること。それだけの価値はあるさ。なんたって、ジェームズ・ボンドなんだから」と語っている。 前作に続き、サム・メンデス監督がメガホンを取る「スペクター」は26日に英国で封切りとなった後、11月6日より全米公開。日本公開は12月4日の予定となっている。

(ニューヨーク=鹿目直子)