お笑いコンビ、南海キャンディーズの「しずちゃん」こと、アマチュアボクシング女子ミドル級の山崎静代選手(36=よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が19日、大阪市内で引退会見を開いた。

 「ボクシングがなかったら、私の人生、今がなかったし、これから仕事をしていく上でも、自信をもたせてくれた」

 引退を決めた理由には「心と体がついていかなくなった」とし、昨年11月の世界選手権で「世界の壁に当たった」と感じたことが大きかったという。

 12年ロンドン五輪のときのように、リオ五輪へ目標を定めたものの、今年は試合をしておらず「4月ごろから体調が悪く、思うように練習ができなくなった」と語った。

 練習中に吐き気、過呼吸などに悩まされ、8月ごろに「いったんボクシングから離れよう」と考え、距離を置いたことで、逆に「もう1度リオを目指すのは無理かなと思った」と説明した。

 ロンドン五輪は、故梅津正彦氏(享年44)をトレーナーとし、ともに戦ったが、梅津氏が13年に急死し、リオ五輪へは1人での闘いが続いていた。

 「梅津さんが亡くなったとき、これからは自分だけで頑張るって誓って、決めて。自分で自分のケツをたたいてやってきたけど、やっぱり、どんどん苦しくなっていって、梅津さんの存在の大きさを感じました」

 梅津氏の話を思い出すと、目に涙をため、唇をかむ場面もあった。

 引退を悩んでいる最中にも、梅津さんの墓前で相談し「中途半端なことはするなと言われた(気がした)」と振り返り、決断。ボクシング人生に「悔いはない」と言い切り、この日、目から涙をこぼすことはなかった。

 ここ数年は競技生活が中心で、相方の山里亮太(38)とのコンビ活動はほぼ停滞させていた。

 「急にボクシングやるって私が言って、山ちゃん(山里)も反対とか言ってたけど、結局、やらせてくれて、私がやりきったら戻らせてくれる。感謝しています」

 山里への感謝を口にしたものの、ただし恋心に発展することは「ない! 向こうもないでしょう」と笑った。

 今後はコンビでの舞台、テレビ出演のほか、過去に経験のある演技の仕事もしたいという。まずは今月25日、千葉・幕張で「南海キャンディーズ」としての活動を再開させる。