助演男優賞の本木雅弘(50)は石原裕次郎さんを意識したというブルーのシャツやアクセサリーを身につけ、さっそうと登壇した。前年受賞者の池松壮亮(25)から盾を、「天空の蜂」で共演した永瀬匡(22)から花束を渡されると笑みがこぼれた。今月21日に50歳になったばかり。「大変華々しいスタートが切れたことをうれしく思っております」と晴れやかな表情を見せた。

 石原裕次郎賞の表彰で、裕次郎夫人の石原まき子さんが言った。「モックンですか。(演じた)天皇陛下は素晴らしい」。「狂った果実」など裕次郎映画にどっぷりハマッた時期もある本木は、控えめながらも喜びをかみしめた。「昔、母が北原三枝さん(=まき子夫人)のファンだったので、ご本人にもお伝えしたのですが、『モックン』と言われたことを『母が泣きます』と言いました。認知してもらった上に褒めていただけた。『天空の蜂』を含め、役回りが良かったんです。運が良かったで賞、ツイていたで賞です」。

 受賞俳優では最年長。「いつも年下だったのに、こんなシーンに立つことになるとは」としみじみ。「その意味で、最大、なれて、駒なんですよ。監督の良き駒となるように、常に悩みながら演じたいですね」。

 主演映画「永い言い訳」(西川美和監督、来年秋公開)の撮影が前日27日深夜に終わった。役作りで8キロやせ、控えていた肉料理も「解禁です」と宣言した。「時々でもね、こういうところにくるのはごちそうです」。役作りにストイックな分だけ、味わった受賞の喜びは大きかった。【近藤由美子】