「世紀の裁判」と呼ばれたO・J・シンプソン裁判から20年以上が経過した今、シンプソン氏(68)がかつて所有していた邸の敷地内から、凶器とも疑われるナイフが発見されていたことがわかり、メディアを騒然とさせている。

 CNNなど複数のメディアによると、ロス市警が現地時間の4日、ナイフが発見されたことを発表。1998年、邸を取り壊していた工事作業員が、敷地内に埋められていた折りたたみナイフを発見し、ロス市警の警官に引き渡したものの、警官が今年1月に退職するまで個人的に保管していたという。

 ロス市警は現在、ナイフが事件と関係があるかどうか調べるため、指紋や毛髪の検査を行っており、来週にはDNAその他の検査も行われることも明かした。しかし、法律アナリストはCNNに、「長年にわたり土の中に埋められていたため、劣化が激しく、検査は難しいだろう」と語っている。

 1994年、ロス市内で、元フットボール選手のシンプソン氏の前妻ニコール・ブラウン・シンプソンさんとその友人ロン・ゴールドマンさんが刺殺体となって発見された。アリバイや状況証拠などから前夫のシンプソン氏が逮捕されたが、1995年の刑事裁判で無罪判決を勝ち取った。凶器は発見されておらず、事件は未解決のままとなっている。

 警察は事件に関する捜査を続けることができるが、「二重処罰の禁止(一度無罪となった行為に関し、刑事上の責任を問うことはできない)」により、シンプソン氏が再び訴追されることはない。(ニューヨーク=鹿目直子)