歌舞伎俳優で人間国宝の尾上菊五郎(73)が5日、都内で、東京・歌舞伎座「団菊祭五月大歌舞伎」(5月2~26日)の取材会を行った。菊五郎は同公演への思いや、胃潰瘍で休養した自身の体調、結婚した片岡愛之助(44)と藤原紀香(44)について語った。

 芸能界、歌舞伎界は愛之助と紀香の結婚にわいたばかり。菊五郎は明るいニュースを「大歓迎です」と喜び、「この後、2人があいさつに来るんです。こんぴらに『行け行け』と言ってやろうかなと思ってる」。

 紀香が梨園(りえん)の妻としてデビューするのは当初、香川・琴平町での「こんぴら歌舞伎大芝居」初日の9日と思われた。しかし、中村鴈治郎襲名披露興行であることから、周囲から、鴈治郎に配慮して初日は遠慮した方がいい、という意見も出た。菊五郎は「みんなそれぞれ考え方が違いますからね」と、いろいろな立場を思いやった。

 「団菊祭」は、明治時代に活躍した9代目市川団十郎と5代目尾上菊五郎の功績をたたえる興行。夜の部「勢獅子音羽花籠」では、長男尾上菊之助の長男で、孫の和史くん(2)が初お目見えする。和史くんの母方の祖父、中村吉右衛門も舞台に立つ。和史くんは踊りの稽古にも行き始めたそうで、菊五郎は「だいぶ声が出るようになってきました」と孫の成長を語った。

 昼の部は「菅原伝授手習鑑 寺子屋」「十六夜清心」「楼門五三桐」など、夜は「勢獅子-」のほか「三人吉三巴白浪」「時今也桔梗旗揚」など。何度か中断をはさんで、今年で80年目を迎えた団菊祭。菊五郎は「これからも続けていきたい」と意欲を見せた。【小林千穂】