「少年は荒野をめざす」や「ジュリエットの卵」などで知られる漫画家の吉野朔実(よしの・さくみ)さんの訃報に、多くの漫画家から悲しみの声があがっている。

 吉田戦車氏は吉野さんと行きつけの飲み屋の常連同士という間柄で、先日葬儀に参列したことを2日のツイッターで報告。「直前まで映画を観に行き、食事をし、行きつけのバーに顔を出すなど、普通の生活をなさっていた晩の急な出来事だったということです。翌日はお母様に会いに行く約束があり、手作りの料理を用意されていたとか…」と吉野さんは亡くなる直前まで元気だったという。「早すぎる、残念だ、悲しい…とくりかえすしかない」と心境をつづった。

 ヤマザキマリ氏は「吉野朔実さんの作品は漫画家になる前から周りの友人に『漫画に興味が無くてもこれは読んで』と薦められたりプレゼントされたりして、本棚には何冊も並んでいます。同じ作品を何度も何度も繰り返して読みました」と、吉野さんの作品を愛読していたことを明かし、「ご冥福をお祈りします……」と悼んだ。

 おかざき真里氏は、訃報に触れ「…………。ちょっと言葉が見つからないです。本当ですか?」と動揺。吉野さんが当時連載していた少女漫画誌「ぶ~け」で漫画家としてデビュー。「あまりにも偉大な存在でしたので当時の担当さんに『影響を受けすぎるから会わないほうがいいよ』と言われて、律義に守っておりました。だっていつかお会いできると思っていたから。先生、私の描いた漫画ですって言えると思っていたから」と残念がった。

 瀧波ユカリ氏も「吉野朔実先生が亡くなった…?ちょっと受け入れられない」と動揺。「吉野朔実先生の漫画は、自分があまりにもずるくて安くて汚らしい時は手に取れなかった。それくらい気高くて潔癖で美しい劇物のようなあの世界に憧れてた。でも終わりが来るのなら、だめな自分のことなんて忘れてずっと読んでいればよかった。最初から今までぜんぜん近づけないよ。こんなに好きなのに」と悲痛な思いを明かし、「吉野朔実先生の漫画に出てくる女の子の、澄んだ劇物みたいな美しさにずっと焦がれてます。私の知らなかった美の色を描いてくださってありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます」と追悼した。

 女性向け漫画雑誌「月刊flowers」公式サイトの発表によれば、吉野さんは4月20日に死去した。