松本潤(32)主演のTBS系連続ドラマ「99・9-刑事専門弁護士-」(日曜午後9時)が高視聴率を続けている。主人公の魅力もさることながら、個性的な共演者も好調の要因となっている。中でもコミカルな演技で笑いを誘うラーメンズ片桐仁(42)の存在感は際立っている。都内の収録現場を訪ね、作品にかける思いや周囲の反響などを聞いた。

 片桐は、松本が演じる弁護士、深山大翔の相棒的存在といえる明石達也を演じている。20年間勉強しても弁護士になることができず、深山が所属することになった大手法律事務所でパラリーガル(法律事務職員)として働いている。体を張って事件の検証をしたり、謝罪などの場面では、地面にうつぶせになる「土下寝」などユニークなオーバーアクションでドラマを盛り上げている。松本との掛け合いは見どころの1つだ。片桐は「僕としては全部考えて、狙っているつもり。とにかく脚本と相性が良かったと思います」と計算通りと主張するが、松本は「どこまで狙っているのか、本当に分からない」と不思議な気持ちで向き合っているという。

 ゴールデンタイムの連続ドラマ出演は初めて。収録開始の1カ月前、出演者で3度、入念な本読みリハーサルをして、不安は消えたという。「台本としっかり向き合えたのが良かった。コメディーは結局、まじめにやらなきゃいけないんです。みんなで飲みに行った時も、結構酔っぱらってもずっとドラマの話をしています」。

 面白さを出すため、準備をきっちりした上でライブ感も大切にしている。「アドリブも多めに生かしてくれる。ワクワク感があります。僕だけでなく、松本さんも、(共演の)香川照之さんも、アドリブたくさん入っているんですよ」。

 ここまでの平均視聴率は16・6%を記録。今年の民放連続ドラマで最高の視聴率だ。主人公が刑事事件専門の弁護士というやや堅めの設定だが、随所にダジャレなどお笑いの要素も取り入れており、家族で楽しむ視聴者も多い。片桐は私生活で反響の大きさを実感している。「子供の保育園に行くと、以前は僕のことを敬遠しがちだった同級生のママたちが、急にあいさつしてくるようになった。街中でも若い人やおばさんからも声を掛けてもらうようになった。よく頼むウナギ屋さんに出前で来てもらったら、初めて顔をジーッと見られました」。

 過去の出演ドラマは、ワンポイントの登場が多かった。「だいたい、オタクかホームレスか犯罪者か博士か、みたいな感じでしたね」と苦笑する。今回はこれまでにない手応えを得ている。「セカンドブレークのつもり。僕を知らなかった方々も、認知してくれたかもしれないですから」。

 出演者やスタッフからシリーズ化を希望する声も上がっているという。「みんな『10話で終わるのはもったいない』と言ってます。シリーズ化に向けて、とにかくドラマの中で死なないように頑張ります!」。【横山慧】

 ◆片桐仁(かたぎり・じん)1973年(昭48)11月27日、埼玉県生まれ。多摩美大在学中、小林賢太郎とお笑いコンビ「ラーメンズ」結成。95年活動開始。粘土細工が得意で、粘土作品展「ギリ展」の全国ツアーも開催中。NHK・Eテレ「ピタゴラスイッチ」で作品を披露したことも。エレキコミックとのコントユニット「エレ片」としても活動。妻と長男、次男の4人家族。176センチ。血液型B。