NHK「ふたりっ子」(96年)「だんだん」(08年)で、妹の佳奈とともに双子ヒロインを務めた三倉茉奈(30)が、今年10月3日スタートの次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に、ヒロインを“いじめる役”で出演することになり、16日、同大阪放送局スタジオで収録に臨んだ。

 「やっぱり『ごちそうさん』のキムラ緑子さんを、つい意識してしまいます。私も見ていて、ステキだったなと思うので」

 朝ドラ初出演から20年、3度目の朝ドラにして、茉奈佳奈姉妹の姉、茉奈がヒロイン芳根京子(19)をいじめる、いとこの嫁役を演じる。朝ドラ経験豊富とはいえ、まだ30歳になったばかりだが、茉奈のイメージは、芸達者なベテラン、キムラ緑子だという。

 「小学5年、10歳のときに(ふたりっ子で)子役、20代でだんだん、またこうやって朝ドラに戻ってこられて、しかも、普通の役じゃなくて、いびる設定とお聞きして、それはやりたい! と思いました」

 この日、行われた取材会では、祖母役の中村玉緒(76)が「午前中にはビンタもしたもんね!」と、ネタバレをさせるハプニングも。玉緒によると、午前中の収録で、茉奈がヒロイン芳根にビンタを見舞う場面があっといい、茉奈も「そうです。今日、19歳のヒロインにビンタしました」と打ち明けた。

 とは言っても、その背景には戦時中ならではの悩みがある。ドラマは昭和初期、神戸の山の手で何不自由なく育ったヒロイン・すみの生活が、戦争で一変。戦後、娘のため、女性のために、子供服作りにまい進する姿を描く。

 この日は、芳根演じるヒロインが、戦況悪化のため、滋賀・近江に暮らす父の兄のもとへ、家族とともに疎開する場面などを収録。疎開先で、いとこの嫁に冷たく当たられる設定だった。

 ヒロインの父役は生瀬勝久に決まっており、この日、生瀬の兄役として本田博太郎の出演も発表。番組の三鬼一希担当プロデューサーによると、田舎で旧家を守ってきた兄一家から見れば、都会で派手な暮らしを送ってきた弟一家を素直には受け入れられない背景があり「それが『芳根VS茉奈』の構図につながっている」と説明した。

 その象徴のひとつが、茉奈がヒロインに見舞ったビンタ。はたかれた芳根は「全然、痛くない。愛のムチ的な…。はい、優しくて、痛くなかった」と笑顔。茉奈とアイコンタクトをとり、実際には良好な関係をうかがわせた。

 三鬼氏は、ヒロイン経験豊富な茉奈に、芳根への好影響も期待しており、実際にも茉奈は「私も、周りの皆さんに支えられて、やっと、ヒロインとして存在していたと実感しているので、何か、役に立てたらいいなと思っています」と話した。

 また、この日、新キャストとして、茉奈と、父五十八(生瀬)の兄・長太郎役の本田のほか、山村紅葉が長太郎の妻役で出演することも発表された。本田、山村はともに朝ドラ初出演。茉奈は、両者の息子の嫁を演じる。