今アメリカで最も話題になっているドラマ、「ゲーム・オブ・スローンズ」。6月末に放送されたシーズン6の最終話の視聴者数は900万人近くという、放送局HBOの記録を更新する数字となった。アメリカのオバマ大統領もドラマの大ファンと知られていて、シーズン6放送前にエピソードを送るようHBOに頼んでいたという。ネタバレを防ぐために世界170カ国で同時放送されるこのドラマ、驚異的な人気の理由はいったい何なのだろうか?

 ドラマの舞台は夏と冬が不規則に巡る世界、七王国。覇権の「鉄の王座」を巡って名家が衝突し、陰謀や裏切りが後を絶たない人間ドラマでありながら、ドラゴンや不死の生物などが現れるファンタジーでもある。2011年に始まり、今年6月に第6シーズンの放送が終わったところである。

 人気の理由は、4つ挙げられる。1つ目は、物語の展開が予想できないこと。ジョージ・R・R・マーティンの小説シリーズ「氷と炎の歌」に基づいて作られているものの、原作から変えている部分がある上、第6シーズンからは原作を追い抜いている。ドラマの製作陣は主要登場人物ですら殺すことをためらわないため、ファンは毎週、何が起きるかハラハラして見ているのだ。ドラマのキャストすら自分のキャラクターがいつ死ぬか知らされていないと言う。

 2つ目の理由は、ドラマの作り上げる世界観。架空の舞台だが、お城や衣装は中世風で、映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(01~03)をほうふつとさせるような世界観を作り上げている。それでいて、名家の政治的な争いや国を守るためにある“壁”が、現代のアメリカ社会を反映する面を持つことが興味深い。

 3つ目の理由は、過激な描写。大人向けのドラマなので毎週のようにヌードシーンがあり、中でも女優エミリア・クラークの美しいボディが話題になっている。それ以外にも、首切りなど無残な処刑や血まみれの戦いの描写、ゾンビのような生物の登場などホラー要素もたっぷり含まれ、あらゆるジャンルのファンを引き寄せている。

 最後の理由は、強い女性像。女王、娼婦、魔女など多様な女性キャラクターが登場するが、それぞれに強さを持つ。中世らしい男性社会の中で男性キャラクターに利用されつつ、それに負けることなく、さまざまな方法で権力をつかんでいく女性キャラクターは、たくさんの女性ファンを集めている。

 2017年夏にファンの国際的なコンベンションがアメリカで開かれることが決定している「ゲーム・オブ・スローンズ」。まだ見始めていないという方は、人気の理由をぜひ確かめてもらいたい。オンライン動画配信サービスHuluがシーズン1から5まで配信している。【ハリウッドニュース編集部】