戦後初の上方定席、大阪市北区の天満天神繁昌亭が15日、開館10年を迎え、記念口上に登壇した熱烈阪神ファンの落語家の月亭八方(68)が、不振のタイガースを嘆いた。

 桂文枝会長(73)が、上方のはなし家にとって悲願だった戦後初の定席がオープンさせて10年。その記念口上に文枝、八方らが出演。八方も、当初は「まじめに口上するつもりできた」そうだが、進行を務めた笑福亭銀瓶(48)が「阪神ファンの理事」と八方を紹介したことで、大いに脱線した。

 八方はいきなり「昨日もふがいなく、本当に何か足りないと感じますね。ええ、ほんまに」。主語は口にしなくてもそれは暗黙の了解で、前日14日に本拠・甲子園で広島に敗れたタイガースだった。

 そして「おびえているようにも見えたり、選手そのものが広島の選手に対して、なんとなく心が負けてるような…ね。昨日も、どうしたらええんかと考えてるうちに夜も遅うなって、あ、寝なあかん! となった」と続けた。

 繁昌亭10年の口上。八方の心にも、もちろん喜びが充満している。ただ、タイガースへのぼやき節も止まらない。気を取り直して「10周年のお祝いを…。皆さまのお力添えで…」と本題に話を戻したものの再び脱線。「10年先には、またその10年先には、タイガースが立ち直っていること、それを願うばかりです」と猛虎復活を祈願して締めた。

 八方の阪神への愛は、客席のファンも重々承知している。それだけに、客席からは拍手と笑いが起こり、一体となって10周年を祝った。