宝塚歌劇団星組トップスター、北翔海莉(ほくしょう・かいり)が3日、兵庫・宝塚大劇場での退団公演「桜華に舞え」「ロマンス!!」千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。

 客席からは、男女ファンから「みっちゃん」コール。宝塚ではめずらしい男性ファンからのかけ声も飛び交い、客席との距離の「近さ」も北翔らしい有終ステージになった。

 北翔は月組から宙組へ移り、12年7月にはいったん専科へ。専科時代には、スター格で全組への出演を果たし、昨年5月、星組トップへ“返り咲い”た。

 「ファンの方に支えられ、組のメンバー、スタッフさんに支えられ、本当に感謝しています。もうおなかいっぱいですし、体力的も限界。ずっと挑戦してきて、いろいろな意味でいっぱいです」

 6回ものカーテンコールにこたえ、舞台を降りた後、記者会見し、北翔は満足そうに笑い、語った。

 宝塚音楽学校から21年、入団から19年。劣等生でスタートした北翔にとって、長い闘いだった。「父も兄も海上自衛隊で、私も子供のころは自衛隊に入ると思っていました」と振り返った。

 自衛隊から宝塚、想像もつかない転換の人生も、トップへ上り詰めてゴールを切ってみせた。「昨夜はぐっすり眠れすぎまして、起きてもすぐ、体が動かないほど、寝ました」と、充足感に満ちた笑みも見せた。

 舞台上で、星組メンバーからの退団の花束は、次期トップが決まっている紅ゆずるから受け取り、紅からは、芝居のセリフにひっかけて「あんさ~、好きやで」と声をかけられたという。メンバーにも、温かいファンにも恵まれて、本拠地卒業を迎えた。

 またこの日、トップ娘役の妃海風(ひなみ・ふう)も同時退団。涙で北翔と添い遂げ、思い出深いホームにサヨナラした。今回の星組公演に専科から出演している北翔と同期の美城れんも、今作を最後に宝塚を去る。

 今公演の東京宝塚劇場公演は10月21日~11月20日。北翔らは11月20日付での退団となる。