映画「クリーピー 偽りの隣人」などでメガホンをとった黒沢清監督(61)が27日、都内で開催中の東京国際映画祭で、公開中の監督最新作「ダゲレオタイプの女」のトークイベントに出席した。

 フランスを舞台に、世界最古の写真撮影手法「ダゲレオタイプ」をめぐり、写真家とモデルの愛と死を、霊の存在などもまじえて表現した。同監督にとっては、映画監督デビューから34年目で、初の海外進出作。撮影はパリ市内、郊外などで行い、出演者やスタッフはほぼ全員がフランス人だった。「そこが外国人(である自分)の弱みでも強みでもある。やりたい放題でした。『フランス人から見て、おかしいことがあったら言ってくれ』と言っていた」。ロケでは手探りの部分があったことを明かしつつ、「初めて国籍から切り離された、純粋なドラマを作ったような気がした」と手応えも口にした。

 ホラー要素については、2種類の霊を描きたかったという。「『四谷怪談』では、最初は幽霊がいない。途中で途中で死んで幽霊になり、生きている男と絡んで関係が深くなる」。一方で、「モダンホラーでは、幽霊は最初から幽霊なんです。この作品は2種類の幽霊が出てくる」と解説した。