米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(75)が、ノーベル文学賞を受ける意向を初めて示した。同賞の選考主体、スウェーデン・アカデミーは28日の声明で、今年の授賞決定後、沈黙していたディランから今週に電話があり、受賞する意向を伝えられたと発表した。「受賞のニュースを聞いて言葉を失った。大変光栄に思うし、感謝します」と話したという。

 アカデミーのサラ・ダニウス事務局長は29日朝、地元テレビに出演。ディランと話した印象について「とても友好的で思慮深く、謙虚でユーモラスな人だった」と述べた。電話があったのは今週初めで、15分ほど話したという。

 アカデミーは約2週間前の13日に授賞を発表。ディランに再三連絡を試みたが、本人に接触できず、アカデミーからは「無礼かつ傲慢(ごうまん)」との批判があった。ディランはライブ会場でも同賞に触れなかったが、ついに沈黙を破った。米NBCテレビは代表曲「風に吹かれて」に引っ掛け、「ディランの答えが風の中に舞うことはなくなった」と報じた。

 英紙デーリー・テレグラフ電子版は28日付で、ディランの単独インタビューを掲載。同賞受賞について「信じられない。素晴らしいことだ。夢見ることさえもできない」と驚いていた。沈黙を続けたことには「だからここにいて、取材を受けている」と話したが、理由は明かさなかった。

 12月10日にストックホルムで行われる授賞式への出席の意向を聞かれると、「もちろん、できることなら」と答えた。現在は米オクラホマ州でのコンサートツアー中で、同州で取材を受けたとみられる。

 詩的表現がノーベル賞の評価を得たことには「歌詞にどんな意味があるのか、それは読む人が決めることだ。アカデミーが考えればいいし、僕が言うことではない」と語った。