先月22日に亡くなった俳優平幹二朗さん(享年82)が主演を予定した舞台「死の舞踏」(来年3月10日~4月1日)の代役に、池田成志(54)が決まったことが6日、分かった。

 平さんが演じる予定だった暴君の元軍人エドガー役を引き継ぐ池田は「平さんの代役なんてできるのかというのが率直な疑問だった。ただ、これまで何回か代役をしたことがあり、今回引き受けなかったら、男が立たない。せっかく推薦してくれたのだから、意気に感じてやることにしました」と話した。

 「死の舞踏」は熟年男女の激しい愛憎の応酬を描いた、スウェーデンの作家ストリンドベリの作品。小川絵梨子の演出で、神野三鈴、音尾琢真が共演し、城田優主演「令嬢ジュリー」とともに、東京・渋谷シアターコクーンに設けた2つの小劇場で交互上演する企画。亡くなる数週間前にポスター撮影を行った際、平さんは自分でイメージした衣装を何着も持参。来年1月からの稽古前に本読みの日程を決めるほど意気込んでいた。

 池田はつかこうへい、野田秀樹、宮藤官九郎の舞台で個性的なキャラクターで活躍し、09年の舞台「その男」で平さんと共演した。「重厚で骨太な演技をされる方で、格好いいなと思った。平さんのトーンでやるのは無理なので、下手な小細工をせずにやっていきたい」と話した。

 ◆池田成志(いけだ・なるし)1962年(昭37)9月27日、福岡県生まれ。早大在学中の82年に「第三舞台」に参加。つかこうへい作「熱海殺人事件」、宮藤官九郎作「印獣」、野田秀樹作「MIWA」などに出演し、13年度の紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。