熊本地震の被災地復興を目的に、4月7日から9日まで熊本市と菊池市、益城町で開催される「くまもと復興映画祭」記者会見が2日、都内で行われた。

 行定勲監督(48)がメガホンを取り、震災発生後に全国、世界各国でチャリティー上映された中編映画「うつくしいひと」の続編として製作された「うつくしいひと サバ?」が、4月7日に益城町文化会館で特別試写会として初めて上映される。同日に熊本城二の丸広場でオープニングが行われ、その場でも「うつくしいひと サバ?」がプレミア上映される。

 4月8日には、菊池文化会館で俳優妻夫木聡の特集上映を行う。翌9日にも熊本県立劇場で妻夫木の特集上映と、熊本出身で「うつくしいひと」「うつくしいひと サバ?」に主演・高良健吾の出演作品の上映、トークショーが行われる。高良が熊本について思いを語る内容になるという。

 行定監督は「うつくしいひと サバ?」について「明日、完成します。不謹慎かと思いながら、益城町で16年10月に撮影しました。熊本出身のスタッフも、そうでないスタッフも涙を流して編集している。熊本の人々にも、そうなってもらえる映画になったと思う」と話した。

 詳しい内容については「急に思い立って撮影した。準備もしていなかったが、前作のスタッフの結束が良く、すぐ集まった。僕のわがままで予算もままならないまま走った。内容は、言うならば主人公は高良健吾が演じる探偵。ある人捜しに加担することから、被災地の人の心情、自分の感情に触れていく。テーマは、それでも熊本で生きていく…そこにスポットを当てている人情映画」と語った。そして「脚本も自分で書いたが、こみあげるものがあった。舞台は益城町。一部、西原村と熊本市。本当の景色、そのまま、その場所で、そこにいる人を撮る。俳優演じるフィクションでも力が宿る。益城町の人もエキストラで参加している」と語った。

 実行委員会会長の大西一史熊本市長は、目的として次のように語った。

 大西市長 美しい熊本を取り戻そう、傷ついたところから復興するリアルな熊本も見てほしいと思う。映画というすばらしいエンターテインメントでもって見て、感じて、味わってほしい…そのことが復興に大きくつながっていくものと思っています。映画を通して被災地の方に元気を与える、全国の皆さんに来ていただいて、観光の面でも非常にダメージを受けているので、映画祭をきっかけに観光プロモーション、地域活性につなげたい。熊本の姿を全国、世界に発信したい。

 行定監督によると、映画祭には大物ゲストが2人、登壇する予定で今後、発表していくという。またNHK BSプレミアムで4月15日夜に「うつくしいひと」「うつくしいひと サバ?」の2本立てと、震災から1年の熊本を描いたドキュメンタリーが併せて放送される予定があるという。

 また「うつくしいひと」は、熊本県とコラボし、同県のテレビ局などから出資を受けたため商業上映が出来なかったが、「うつくしいひと サバ?」は同監督の事務所が製作するため、商業上映が可能で、今後は劇場で商業上映を行い、その収益から義援金を集めるプランがあるという。またDVD化のリクエストが多く、2本を合わせてパッケージ化する計画も検討しているという。【村上幸将】