上沼恵美子(61)が10日、大阪市でレギュラーのABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」に生出演し、6日に亡くなった女優京唄子さん(享年89)を思い、放送中に号泣した。家族葬と聞き、通夜に行かなかったことを「後悔してます」と語った。

 上沼は最近、母を亡くしており、自らも葬儀を家族葬として、訃報を知らせなかった。それだけに「やっぱり、違う人がくると気を使うから…。でも、新聞報道を見たら、チラホラ行ってた…。後悔してますわ」と涙声で本音を吐露した。

 「京唄子さんは芸能界のお母さん、ほんま。私は1人だなと思う。1人だわ…」とすすり泣きながら、言葉を続けたものの、その後、しばし沈黙。言葉がなかなか出てこず「ごめんね。申し訳ない。楽しい話、せなあかんのに」と声を振り絞ると、継続は無理と判断し、スタッフに「ちょっと、ごめん。CMいって」とお願いし、転換を要求したほどだった。

 関西のしゃべくり女王が号泣し、言葉が出なくなるハプニング。そのワケは、79年のNHK連続テレビ小説「鮎のうた」で共演した唄子さんを「芸能界の母」とまで慕っていたからだ。上沼は「海原千里・万里」として、70年代初期に漫才師として全盛を誇り、77年に関西テレビのディレクター(当時)だった上沼真平氏と結婚。出産を控え「芸能界引退」を公言していた。

 ところが、「鮎のうた」は花登筐作品で、ヒロインが山咲千里。「千里つながりで出演の依頼をいただいた」ため、出演を決めた。すると、収録現場で、共演者や後輩までが「この世界辞めたんちゃうんか? すっこんでろ」などと、いじめに遭ったという。

 「この仕事終わったら、ほんまに芸能界から退くつもりやった」上沼だったが、途中から出演した唄子さんから「いや~、もう、えみちゃん! あんた、大阪の宝やで」と言われ、仕事を継続したことを、共演者らに聞こえるように絶賛。以来、関西で絶対的存在感を誇った唄子さんの鶴の一声で、いじめはピタリととまったことがあった。

 後に、唄子さんから「あんたは大阪の宝や。よう辞めるなんか、言うたな! 旦那さんも業界やろ。大阪の宝を自分の物だけにするやなんて! 旦那さんにも言うたったらからな」と言われたといい、確認すると、唄子さんは、上沼の夫にも芸能界引退を撤回するように迫っていたことも分かった。

 「だから、私にとっては好き…何というのか、好きは軽い。重要な人。唄子さんがあのとき、ああ言ってくれなかったら、今ごろ、普通のきれいなおばちゃんになってた」

 芸能界の恩人であり、母が唄子さん。上沼は「せやから私、びっくりするほどショックなんです。京唄子さんは大阪のシンボル。通天閣みたいなもん。お別れ会は絶対、やってほしい。発起人になってもいいから…」と、ここでも涙で声を詰まらせながら訴えた。

 上沼は昨年、母を亡くし、20年来付き添ってきた全幅の信頼を置くマネジャーも病気退職。そこに芸能界の母を失い、相当な衝撃を受けている。