元宝塚歌劇団雪組トップ早霧(さぎり)せいな(37)が18日、大阪市内で、自身がトップ時代に主演した「浪漫活劇 るろうに剣心」取材会に臨み、上演する東京・新橋演舞場、大阪松竹座の花道への興味を語った。

 「あそこ(花道)を走ってみたいと思いました」

 「必要以上に見えを切っちゃうかも」

 宝塚時代と変わらない豪快な笑い声とともに、再演作への思いを語った。

 早霧は宝塚時代、トップ主演全5作で、宝塚大劇場の稼働率100%超えの記録を樹立。そのうちの1作が16年2月から上演された今作だった。

 宝塚歌劇では「エリザベート」「スカーレット・ピンパーネル」など、名作ミュージカルも多数あり、退団後にヒロインを演じる元トップは多いが、男性主人公をそのまま演じることは極めて異例。早霧は松岡充ら男性キャストにまじって、今回も美貌の剣豪・緋村剣心を演じる。

 「正直、めっちゃくちゃ、悩みました。男役は宝塚だけのものだと思っていたし、今も思っているので」

 ただ、演出の小池修一郎氏から、早霧が主演を受諾する前提で話を進められ「ずるいですよね」と苦笑。「で、はい、こうしましょうか…って、言っちゃった。でも、やるからには、過去と比べずに、新鮮な気持ちでやりたい」と話す。

 一方で、内面から入り込む独特の役作りで、舞台での剣心像を築き上げてきた早霧にとって「やっぱり、他の人に剣心をやられるのはいやでした」とも言う。「まあ、2年前の、キレッキレの男役時代でも体力的に(立ち回りなど)相当きつかったので、今の私がやれるのかとは思いますけど」と言い、再び笑った。

 宝塚の本拠地は舞台と客席の間に「銀橋」と呼ばれる渡りがあり、ここで歌い、踊るなどし、見せ場を作る。代わって、歌舞伎公演が主軸の新橋演舞場や松竹座には花道がある。OSK日本歌劇団公演や、歌舞伎などを客席から見学していた早霧は「ちょうちんが並んでいて、雰囲気からしてやっぱり和物感がありますよね。(主演を受諾して)花道を走る自分を想像しちゃいました」と語った。

 本物の男性を相手にした殺陣にも「危険だったら逃げます」と笑わせつつも、抜群の運動神経を誇り、男役としては小柄ながらダンスも武器としてきた早霧だけに「ちっちゃくなりすぎず、気迫で男性相手に立ち回りたい」と話していた。

 公演は、東京・新橋演舞場で10月11日~11月7日、大阪松竹座で11月15~24日に行われる。