TUBEが25日、夏恒例で通算30回目の横浜スタジアム公演を開催した。同所最多公演記録を今年も更新。慣れた場所だが、ボーカル前田亘輝(53)は「30回目がものすごいプレッシャーで、リハーサルでも異常に緊張しちゃって」と、正直な気持ちを吐露した。

30回目の公演を迎え、メンバーもさまざまな変化を肌で感じている。前田は「このあたりも変わりましたよね。マンションが建ったりして。ファンも最初は同世代ばかりだったけど、今は小さい子も増えましたね」。気候についても触れた。「年々暑くなっていくよね。気候との戦いですね。最近は異常だよね。最初のころは午後8時台になると、肌寒かったもんね」と、しみじみと振り返った。

TUBEは7球場で計74公演を行うなど、国内で最も野外球場公演が多いアーティストだ。その中で、最も印象に残る公演を聞かれると「いろいろあるけど、やっぱり失敗を思い出すね。トラブルを乗り切ったことかな」。さらに「台風でステージが半分なかった甲子園球場公演(04年)とか…。でも、1番苦しかったのは去年かな。初めて中止になるんだなと感じましたね」と、ゲリラ豪雨で約1時間中断した昨年の同所公演を挙げた。

この日は湘南サウンドの大先輩、加山雄三(81)もサプライズでお祝いに駆け付けた。加山は「(30回公演は)すごいよね」と言いながら、前田とガッチリ握手を交わした。さらに加山は「最高の男だから、ずっと応援してくださいね」と呼び掛けた後、大きな歓声と拍手に「幸せだなぁ」と笑顔を見せた。TUBEの楽曲や加山のヒット曲「海 その愛」を一緒に歌う場面もあった。

この日は「シーズン・イン・ザ・サン」「あー夏休み」など代表曲を含む計28曲を披露。噴水や花火などのド派手な演出でも、公演を盛り上げた。

同所での初公演は1988(昭63)年。前田はアンコールで「昭和、平成、31回目は次の年号を迎えます。3年号をまたぎます。客席を見渡すと、本当に統一感がない、世代もバラバラ、性別不明。このバンドいいかげんを支えてくれる皆さん、今まで長い間、どうもありがとう」と、集まった3万人に感謝した。

▼TUBEの通算30回の横浜スタジアム公演を街全体で盛り上げた。みなとみらい線の日本大通り駅では、過去29回の公演を振り返るフォトパネル展が開催され、約120枚の写真などが掲出された。また、日本大通り駅構内では、「あー夏休み」「シーズン・イン・ザ・サン」といった代表曲がBGMとともに、メンバーによるアナウンスも、この日限定で流れた。また、会場周辺の店舗では、オリジナルうちわ約1万個が配布された。

▼「あー夏休み」「夏を待ちきれなくて」「夏を抱きしめて」「だって夏じゃない」など、夏をテーマにした楽曲が多数ヒットし、夏バンドのイメージが強いTUBEだけに、野外公演も多い。これまで開催した単独野外公演は128公演で、計280万人を動員。そのうち74公演が野外球場公演で、87年8月21日の大阪球場公演が初めての野外球場公演だった。