6月に胆のうがんで死去した俳優加藤剛さん(享年80)のお別れ会が30日、東京・青山葬儀所で行われ、里見浩太朗(81)がお別れの言葉を述べた。

里見は壇上の遺影を見上げると「剛さん、私よりずっと頑丈な方だと思っていたのに、先に天国に旅立ってしまうとは思いもしませんでした」と声を掛けた。

訃報を聞いた当時を「現実と分かった時、とても辛く悲しい思いが込み上げてきました」と回想し「誰よりも芝居が好きで、いつも何かを表現することが好きでした。観客の前で演じることが好きだったあなたにとって、何より辛いことでしょう」と悼んだ。

初めての出会いはTBS系時代劇「大岡越前」で、「あの時東映の楽屋であなたの横顔を見ました。なんて美しい顔の俳優さんなんだと思いました。まるでギリシャの彫刻を見ているような横顔に、ほれ込んでしまいました」。最後に会ったのは一昨年の秋、東山紀之が主演した「大岡越前」での撮影だったといい「剛さんは『しばらく!』と振り向いて、『やあ浩ちゃん、元気そうだね』と優しい笑顔を投げかけてくれた。何十年ぶりに会ったのに。それが最後の別れになってしまった」。

最後に「あちらに行っても大丈夫。『大岡越前』で一緒に仕事をなさった(片岡)千恵蔵先生、竹脇無我、(松山)英太郎、僕たちが『水戸黄門』で一緒になった中谷一郎さん、東野英治郎さん、みんないます。どうぞみんなで昔の思い出話をしてください。ゆっくりと休んでください。お疲れさまでした」と語りかけた。【遠藤尚子】