NHKのクイズバラエティー「チコちゃんに叱られる!」が人気ですが、若い視聴者獲得に力を入れるNHKには、今後の番組作りのいいきっかけになると感じます。

お堅いイメージのNHK。番組内で登場する5歳の着ぐるみの少女が言う決めぜりふ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」に、NHKの上田良一会長も、先日の定例会長会見で「実は最初に聞いた時はドキッとした。NHKのイメージが古いのかもしれないが、5歳の娘がこんな言葉づかいをしていいのかと気にしながら見ていた」と語っていました。

このあたりがNHKの長所であり弱点でもあります。これまで、NHKらしさ、公共放送としての立場を意識するあまり、どうしてもお堅い印象の番組が多くなっていました。

一方で、幅広い世代に支持される番組を世に登場させるのは難しい作業。当初は決めぜりふを心配していた上田会長も「うまく皆さんに受け入れていただいてうれしい」とほっとしていましたが、支持されるか厳しい声が出るかの見極めが肝心。世間の感覚をきちんと把握して番組を生み出さないとなりません。

おまけに世間の感覚は時代とともに変化します。変化にきちんと対応する嗅覚を持ち、公共放送らしさを保ちつつ、世代を超えて受け入れられる洗練された“遊び心”がNHKには必要と思われます。

上田会長は決めぜりふを「この言葉を私も自戒自制の念をもって受けとめています」と語り、職員に対しては「使っていません」と、報道陣を笑わせていました。そのセンスが今後、番組作りに生かされることを期待したいと思います。