2日に放送されたTBS系「新春ドラマ特別編『下町ロケット』」を正月休みで帰っていた栃木で、米農家を営む親戚にいろいろと話を聞きながら鑑賞してきた。

まず、インターネットでも指摘されているが、「台風の中、稲刈りをするなんてあり得ない。夜露や朝露がかかっただけでも水分でうまく刈れないのに…。あんなコンバインがあるなら今すぐにでも欲しい」と、ドラマならではのフィクション部分にツッコミが入った。

しかし、有意義な話も聞くことができた。作品のテーマになっていた自動運転農機の開発競争とスマート農業については農家目線の意見を聞け、あらためて「面白い話だ」と感じることができた。

農業従事者の減少と高齢化が進む中、耕作放棄や知り合いの農家に耕作を頼むなどの現状があるのだという。私の親戚も70歳を超え、米作りは続けたいが、年齢的に体力的に厳しく「いつまで続けられるか分からない。近所もそういう人ばかりだ」と話す。だが、自動運転農機によるスマート農業がそんな状況を一変させる可能性があると指摘した。

自動化が進めば人間の手間が減り、さらに休憩時間などとらなくてもよい分、多くの農地で耕作が可能になるからだ。それは、企業が広大な農地を借り上げてビジネス化したスマート農業かもしれないし、農家の息子が自動運転農機をそろえ、小作料をいくらか払って近所の田畑を一括して管理する方法かもしれない。

人件費は抑えられるが、問題は初期投資とランニングコストだろう。ドラマをみながら農機具メーカーのホームページで自動運転農機の価格を見てみた。価値観が分からないので質問してみると、びっくりするほど高額ではないらしい。「若ければ買っても良いけど、これから買っても元がとれるかどうか分からないし」。大きな課題だが、この辺をクリアすれば日本の農業が大きく変わるきっかけになるような発明なんだと実感させられた。