TBSは11日、同局の紀行人気バラエティー「クレイジージャーニー」(水曜午後11時56分)で不適切な“仕込み演出”があったと発表した。

爬虫(はちゅう)類ハンターがメキシコに生息する珍しい生物を探し、捕獲する内容だったが、紹介した6種類のうち4種類が、スタッフが事前に用意したものだった。同局は謝罪した上で、番組について「調査が完了するまで休止します」とした。

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TBSによると、問題が発覚したのは8月14日に放送された同番組の2時間スペシャルとレギュラーの深夜枠での内容。爬虫類ハンターの加藤英明氏(40)がメキシコに生息する珍しい生物を探し、捕獲する企画で不適切な演出が行われた。同局は「放送で紹介した生物は6種類ですが、このうち4種類は、番組スタッフが現地の取材協力者に依頼し、ロケ前に準備していた生物を使って撮影していたことが放送後の調査でわかりました」と報告した。

また、「準備していたものを、あたかもその場で発見したかのように描いた今回の手法については、事実に依拠した番組で事実をゆがめたことになり、あってはならいものと考えます」とし、視聴者と加藤氏ら関係者に「深くおわび申し上げます」と謝罪コメントを発表した。番組スタッフは加藤氏に事前に個体を準備していることを伝えていなかった。関係者によると、今月に入って外部からの指摘を受け、調査したところ発覚したという。

過去の放送分も調査を進めており、現時点では過去10回の放送で捕獲した生物のうち、26種類は捜索中に実際に発見し捕獲したものですが、11種類は事前に準備していたものであると判明しているという。今後、さらに増える可能性もある。

同局では番組を「調査が完了するまで休止します」としており、11日放送は同局系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」の再放送に差し替え、18日以降は検討中としている。

同局では、今月5日にもドキュメンタリーバラエティー「消えた天才」(日曜午後8時)で、8月11日放送でリトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した当時12歳の少年の試合映像を放送した際、映像を早回しすることで実際の投球よりもストレートの球速が速く見える加工を行っていたことが発覚。謝罪と調査終了までは放送休止を発表していた。

◆「クレイジージャーニー」 15年4月から放送スタートの人気紀行バラエティー。司会はダウンタウンの松本人志(55)、バナナマンの設楽統(46)、小池栄子(38)が務める。独自の目線や強いこだわりを持って世界や日本を巡る「クレイジージャーニー」が常人離れした体験談を語ったり、番組スタッフと同行ロケをする内容。加藤英明氏の旅は人気企画の1つだった。