宝塚歌劇団の雪組トップ望海風斗が8日、兵庫・宝塚大劇場で、サヨナラ公演「『fff-フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~」「シルクロード~盗賊と宝石~」の千秋楽を迎えた。コロナ禍で退団が半年延期。ファン数千人に見送られるパレード取りやめも、サヨナラショーには雪組全員が出演。昨年に続く2度目の緊急事態宣言も乗り越え公演を完走。同時退団する相手娘役の真彩希帆らとともに、本拠地に別れを告げた。望海らは、東京宝塚劇場千秋楽の4月11日をもって退団する。

望海の一問一答は以下の通り。

-最後の大階段はタキシードを選んだ

望海 やはり、まだ男役でいたいな-と。東京の千秋楽まで、まだまだ男役で皆様の前に立ちたいなと思ったので、黒えんびに。今までもいろんなトップさんを見送らせていただいて、黒えんびで階段を下りる姿にあこがれもありました。

-涙ぐむ場面もあった

望海 ファンの方に向けてというのが…。ファンの方とともに、いろんなことを乗り越えてやってきたので、本当にまったくお会いできない状態で公演が進んでいくというのも初めてで。一緒に退団を意識して進んでいくものと思っていたんですけど、そういう形ではなかったので。でも、ファンの方も「幸せに卒業できるように」と一番に考えてくださり、我慢してくださっている思いに…。

-宝塚大劇場はどういった場所だったか

望海 育てていただいた場所。初舞台からいろんなことを経験し、18年間の歴史をお客様と。お客様、客席からいただくものをすごく感じていたので。皆様の気持ちが本当に温かくて。

-真彩さんとは何を

望海 今日は、ほんと朝からベルトコンベヤーのように過ぎていって、さっき幕がおりてやっと(退団を)実感。(真彩とは)舞台上で話したのがすべて…。でも、まだ東京がありますので、どんな時も全力で同じ方向を向いて、今日できる最高のものをお届けしようという気持ちで。可能性を広げていきたい。

-カーテンコールでは、雪組ポーズも披露した

望海 かけ声は「どっせい」ですね。(宝塚専門チャンネルで)生まれたもので、男役はどんな掛け声でもかっこいい、と-。そんな話になり、サキちゃん(次期トップ彩風咲奈)と「どっせい」対決をしたり。それがずっと続いて。

-けさ、仲間から熊の着ぐるみを贈られた

望海 好きなキャラクターなんですけど、まさか自分がその格好になるとは思っていなかった(笑い)。でも、乗り物を見た瞬間に「そういうことか!」と思いました。

-パレードもない。異例のサヨナラには

望海 この退団公演だけに限ってしまわないで、振り返ってみれば、1人ではたどり着けなかった。いろんな方に出会い、助けていただき、出会ったすべての方々に「ありがとうございます」と言いたい。私自身、卒業の時にどんな気持ちになるか想像もつかなかったんですけど、この公演はその気持ちをしっかりもってやりたいと思います。

-今日、最も印象に残った場面は

望海 (ショーの最後に雪組カラーの)緑のペンライトが光った瞬間に、なんともいえない気持ちがこみ上げてきまして。それまではすごく楽しい気持ちが勝っていたんですけど、緑のペンライトを見た瞬間、ふと心が緩んでしまった。その瞬間が忘れられない。

-ショーの幕開けは、思い出の主演作「ドン・ジュアン」からだった

望海 いつかはやりたいと思っていたんですけど、(次期トップ)彩風(咲奈)がいないとできない。彩風も「またいつか」と思ってくれていて、サヨナラショーで彩風がいる時に、やりたかった。最初(幕開き)の方がインパクトがあるんじゃないかなと思って。

-4月11日まで、あらためてどんな思いで

望海 1人で何かを頑張るというよりも、組のみんなと追求していきたい。みんなと一緒に過ごすことによって、発見することもある。この立場になると、振り向いたら下級生たちがいっぱいいる。その人たちが「こうなろう」「ああなりたい」と頑張っている姿を、私も一緒に感じていきたい。そして、もっともっと、私も「こんなの出せるよ」と提示していけたらいいし、それによって、男役が(ゴールに)行き着いていけばいいなと思います。