劇団俳優座の1期生で、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」などで知られる女優野村昭子（のむら・あきこ、本名増見昭子＝ますみ・あきこ）さんが死去したことが2日、分かった。95歳。夫は01年に亡くなった演出家増見利清さん。

これまでに2度のがんを患ったことなどを明かしていた。19年のテレビ朝日系「徹子の部屋」では、自分の終活や、ぬいぐるみ犬との生活などを明るく話し、元気な様子だった。

東京生まれの野村さんは、薬剤師として働いた後、俳優座養成所の1期生になり、その後入団。「思春の泉」で映画デビューし、ドラマなどで幅広く活躍した。

「渡る世間は鬼ばかり」には、98年10月から放送された第4シリーズから出演した。故山岡久乃さんが病気で降板することが決まり、山岡さんが演じた節子の友人タキという設定で登場。野村さんは当時の制作会見で「71歳でこんな大役がいただけてうれしい」と喜んでいた。演じたタキは、シリーズに欠かせないキャラクターになるとともに、愛犬にも同じ名前を付け、愛着を持っていた。

「渡る世間－」の脚本を手掛け、昨年亡くなった橋田壽賀子さんや、同作プロデューサー石井ふく子さんからの信頼も厚く、橋田さんが脚本のNHKの放送80年記念のスペシャルドラマ「ハルとナツ　届かなかった手紙」や、石井さんがプロデューサーのTBS系「ありがとう」にも出演している。

故市原悦子さんが主演した人気ドラマシリーズ、テレビ朝日系「家政婦は見た！」では、家政婦紹介所の会長を演じた。市原さん演じる家政婦秋子とのやりとりや、個性的な役柄もドラマの見どころだった。

舞台、映画、ドラマと幅広く活躍し、快活な演技やキャラクターが、さまざまな作品で見られた。

◆野村昭子（のむら・あきこ）1927年（昭2）1月2日、東京生まれ。東京薬学専門学校を卒業し、劇団俳優座へ。代表作は、舞台「赤い陣羽織」「桜の園」「東海道四谷怪談」、映画「赤ひげ」「善人の条件」など。ドラマはNHK「おはなはん」、テレビ朝日系「家政婦は見た」、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」など。第19回橋田賞特別賞。