死去した俳優の緒形拳さんは、最期まで演技への執念を燃やし続けた。終末医療に取り組む老医師を演じ、9日からフジテレビ系で放送される連続ドラマ「風のガーデン」が遺作となった。

 人間の生と死をテーマにしたこの作品は、9月28日にすべての収録が終わったばかり。緒形さんの息子役で共演した中井貴一さんは、ラストシーンを「僕も精根尽き果てる感じでふらふらでしたが、緒形さんも立ち上がれないほどだった」と振り返っていた。

 その2日後、東京都内で開かれた「風のガーデン」の記者会見に緒形さんは出席。撮影の疲れもあってか、声にいつもの張りがなかった。作品について問われると「いや応なく人って老いていくわけで、それで病になるわけで、そしていや応なく死が訪れるわけで…」と答える場面もあった。

 それでも冗談を交えて会場を沸かせる気配りを示し「(春ごろから)玄米菜食に変えたんですが(白米の)すしだけは困ったなと思うんです」と、健康に配慮する様子も見せていた。