最愛のパートナーだった事務所社長の中村一好さん(享年60)を亡くした歌手都はるみ(60)が16日、香川県民ホール(高松市)で、悲報後初のコンサートを行った。

 「悲しいことばっかり続きました。いつも皆さんに元気もらうんですけど…ご迷惑をお掛けして…。でも、もう涙は家に置いてきました」。一昨年、恩師の作曲家市川昭介さんを亡くし、今度は公私ともに支えにしていた中村さんを失った。それでも約2時間の公演を、目に涙を浮かべ、声を震わせながらも最後まで歌いきった。

 公演は中村さんプロデュースの今春からのツアーと変更なし。全22曲のうち、中村さん作品は12曲あった。苦難を夫婦で乗り越えようと歌う市川さん作曲の「夫婦坂」では、間奏中に何度もはなをすすった。うなるような独特のこぶしにも力がなかったが、終盤には「私のとりえは元気だけ。後ろを振り向かないで歌っていきます」。満員の2000人に拍手で励まされた。

 公演後には報道陣の取材を受けたが「ここ(取材)には来たくなかった」と本音も。本妻が執り行った葬儀には出席できず、最後の別れもかなわなかった。17日発売の「女性セブン」に、中村さんの自殺の背景には07年の借入金が年商の半分にもなる約1億4000万円あったなどと報じられたが、都は「私には分からない…」と目もうつろ。「(自殺を)止めることができなかった」と悔やむ一方で、中村さんの死を「絶対、事故だと思いますよ」と語り、揺れ動く心中をのぞかせた。