昨年9月に発表された世界初のAI(人工知能)女優ティリー・ノーウッドがハリウッドに大きな衝撃を与えるなか、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは1日、AIを使用して作られた俳優は受賞の対象外とする新たな規則を発表した。

99回目となる2027年から適用される新たなルールでは、演技部門において対象となるには「本人の同意のもと人間が実際に演じる」ことが必要で、生身の人間のみ受賞対象であることが明文化された。また、脚本部門でも「人間が執筆した脚本である」とする規則も設けられることになった。

AI生成により故人をスクリーンによみがえらせることが可能となったことも、新規則の理由の一つとされている。最近では昨年亡くなった映画「トップガン」シリーズで知られる俳優ヴァル・キルマーさんをAIで新作映画に登場させて大きな話題となった。しかし、これによって今後キルマーさんのような事例でアカデミー賞を受賞する可能性はなくなった。

ハリウッドでは、ノーウッドの登場で俳優業が人間からAIに置き換えられる危険性が取り沙汰され、仕事を奪われる懸念が広がっている。AIは、2023年に長期にわたって映画業界をストップさせた俳優組合と脚本家組合のWストライキの争点の一つにもなっており、アカデミーにもAIの脅威への対処を求める声が上がっていた。(千歳香奈子)