俳優中村雅俊(75)の妻で女優の五十嵐淳子さんが4月28日に急病のため亡くなった。中村の公式サイトで2日、発表された。73歳だった。
今年1月22日に東京・丸の内の東京国際フォーラムで5000人を集めた「50周年記念 俺たちの旅 スペシャルコンサート」最終公演の取材に行った時だ。1975年(昭50)10月から1年間放送された、中村主演の日本テレビのドラマ「俺たちの旅」のオープニング曲「俺たちの旅」とエンディング曲「ただお前がいい」の作詞・作曲のシンガー・ソングライター小椋佳(82)がスペシャルゲストだった。
80代になっても変わらぬ歌声、そして元銀行マンならではの知的な語り口に観客が酔いしれていると突然、毒を吐いた。初めて会った時の中村の印象を「きったない俳優だな。モテないだろうなと思った」と笑った。当時の中村は、ジーンズにげたの“蛮カラ(バンカラ)”スタイルが定番だった。「そして、しばらくたったらすごくきれいな人と結婚しやがった」と、77年2月の中村と五十嵐さんの結婚を振り返っていた。
75年4月から半年間放送された、中村と松田優作さんのダブル主演ドラマ「俺たちの勲章」に五十嵐さんがゲスト出演して初共演。翌76年4月公開の映画「凍河」では困難を乗り越えて結婚する恋人を演じた。その後、育児に専念するために五十嵐さんは芸能活動を休止。まさに、世の男性にとっては「中村が美しい五十嵐淳子を奪い去った」という空気感だったことを覚えている。
16年に2人のまな娘のモデル中村里砂(36)が主演映画「少女椿」で女優デビューする時にインタビューした。“里砂ドール”と言われるお人形さんのようなかわいらしさ、美しさは五十嵐さんの若き日を思い出させた。撮影に当たった先輩カメラマンが、少年のようにほおを紅潮させて「お母さんを撮影したことがあります。母娘2代できれいな人を撮影できて光栄です」と話していたのが忘れられない。
デビューから50年以上も数々の実績を積み重ねて来た俳優中村雅俊。「俺の最大のラッキーは嫁さんと結婚できたこと」と、折々のインタビューの際に幸せな家庭生活を語っていた。
73歳は、まだ早過ぎる。ご冥福をお祈りします。
【小谷野俊哉】
◆五十嵐淳子(いがらし・じゅんこ)本名・中村淳子。1952年(昭27)9月20日、埼玉県生まれ。TBS「日曜8時、笑っていただきます」で「五十嵐じゅん」としてデビュー。雑誌モデルで活躍した。75年に映画「阿寒に果つ」で主演し、その後、芸名を本名に改めた。77年2月に中村雅俊と結婚。出産を経て88年「教師びんびん物語」で6年ぶりに女優復帰した。1男3女に恵まれ、長男の中村俊太(48)は元俳優、三女の中村里砂(36)はモデル。



