ジャズバンド「原信夫とシャープス&フラッツ」が58年の歴史に幕を閉じることが8日、分かった。オーナー兼リーダーの原(81)が51年に結成した同バンドは、初代リーダーが現役で活躍する最年長バンドとして知られている。

 「ジャズは人生そのもので、私にとっては神様。結成以来、一番よい音をしている今このときに、このビッグバンドという形式から離れようと思う」。最高の音をファンの心に刻もうと、原は全国ファイナルコンサートを決めた。11月1日の神奈川・よこすか芸術劇場を皮切りに、来年の夏まで、体力とファンの要望の続く限り全国を飛び回るという。

 半世紀を超えて第一線でサックスを吹き続けていた原は、ナット・キング・コール、ダイアナ・ロス、ポール・アンカら世界中のアーティストとも共演してきた。また、作曲家としても美空ひばりに「真っ赤な太陽」などを提供。さらに、若いアマチュア音楽家への支援団体を設立し、音楽教育にも心血を注いだ。それらの活躍が認められて、88年に「紫綬褒章」、98年には勲4等旭日小綬章を贈られている。

 戦後の焼け野原で産声を上げ、戦後の日本と歩んできた老舗バンドが、ついに終演を迎える。