無期限謹慎中の歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が早ければ来年5月に復帰することが12日、分かった。松竹は7日の会見で謹慎期間を「無期限」とした。しかし、暴行事件で海老蔵に非がなく、示談か裁判が早期に終わった場合、市川団十郎家にとって大事な公演である「団菊祭五月大歌舞伎」での復帰が有力視されている。

 傷害容疑で伊藤リオン容疑者(26)が逮捕され、警視庁は暴行事件の真相解明を急いでいるが、海老蔵の復帰プロジェクトも水面下で動きだした。浮上しているのが来年5月の「団菊祭五月大歌舞伎」で父市川団十郎(64)と共演しての復帰プランだ。

 7日の海老蔵の会見に同席した松竹の迫本淳一社長は「市川海老蔵の今後の公演出演を、期限を定めずに見合わせることにした」と無期限謹慎を発表した。無期限としたのは厳しい処分を科したとの印象を与える一方、事件の展開次第で復帰時期を決められる利点もあった。会見時では事件の展開が予測できず、謹慎期間を明言することはできなかった。

 しかし、伊藤容疑者が逮捕され「殴ったのは間違いない」と容疑を認めている。裁判となっても3月までには終わると予想され、もし示談ともなれば、より早い決着が見込まれる。そこで、最短復帰で来年5月が有力となった。「団菊祭」は明治期の名優だった9代目市川団十郎と5代目尾上菊五郎をしのぶため戦前に始まった。毎年5月に上演され、団十郎家にとって大事な公演となる。

 今年5月は歌舞伎座が閉場したため大阪・松竹座で初めて上演されたが、来年は再び東京に戻り、新橋演舞場で行われる予定。そこで父団十郎の監督のもとで復帰しようというのだ。ただ、この復帰プランも事件で海老蔵に非がないことが前提となる。事件の成り行き次第では復帰がずれ込む可能性はある。

 [2010年12月13日11時14分

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