ロック歌手の故忌野清志郎さん(享年58)がRCサクセション時代に歌ったロックバージョン「上を向いて歩こう」が27日から配信開始され、よみがえる。

 今年は、09年5月2日にがん性リンパ管症で死去した清志郎さんの三回忌。そして、85年8月12日に日航機墜落事故で死去した坂本九さん(享年43)の二十七回忌で、生誕70年。さらには坂本さんの「上を向いて歩こう」の発売50年にあたる。

 その節目の年に、東日本大震災が起きた。「上を向いて-」は、希望の歌としてあらためて注目されている。清志郎さんが所属したユニバーサル・ミュージックでは「清志郎さんは『上を向いて-』に強い思い入れを持っていた。それを、ぜひ今年、聞いてほしいと思った」と、配信開始の理由を語っている。

 清志郎さんは「上を向いて-」が持つビート感や、坂本九さんの歌唱をロックンロールとして高く評価。亡くなる直前まで30年以上にわたりライブで「日本の有名なロックンロール!」と叫んで歌い続けてきた。79年に発売したRCの「ステップ!」のカップリング曲としても収録した。坂本さんをリアルタイムに知らない世代に、清志郎さんが「上を向いて-」を伝承してきたといっても過言ではない。

 今回、配信されるのはRCのアルバム「RHAPSODY」(80年)と「EPLP」(81年)に収録された2バージョン。前者はライブ音源となる。ユニバーサル関係者は「震災があり、清志郎さんが生きていたらどうしていたか、今となっては語れませんが、きっと『上を向いて-』を歌い続けたと思います」と話している。

 ◆「上を向いて歩こう」

 作詞・永六輔、作曲・中村八大で61年10月に発売された坂本九さんの代表曲。NHK「夢であいましょう」で放送されて注目された。「SUKIYAKI」のタイトルで発売された欧米でも大ヒットし、63年6月には米ビルボード誌で、3週連続1位を獲得した。全米1位を獲得した日本の楽曲は、現在でも同曲1曲しかない。