女優蒼井優(26)が1日、映画「フラガール」(06年)のロケの中心地、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ営業再開セレモニーに出席した。同映画でブレークした蒼井は同県に恩義を感じており、東日本大震災の被災者に匿名で本を送るなど、陰で復興支援を行ってきた。「福島は第2の故郷。できる限り力になりたい」と継続的な支援を約束。感極まりながら「がんばっぺ!」と福島弁でエールを送った。

 蒼井はスパリゾートハワイアンズ営業再開セレモニー出席後、程近い常磐音楽舞踊学院の稽古場を訪れた。ハワイアンズを中心に、「フラガール」の撮影が福島県内で行われたのが06年1~3月。フラダンス初心者の蒼井は撮影中の約2カ月間、この稽古場に通い詰めた。「うわぁ、懐かしいな」。鏡の前で立ち止まり「ここで泣いたんです」と床を指し示した。

 腰を振って腰みのをポンポン回すことができず、ようやく習得できた際は指導者と抱き合って泣いた。「泣いたり笑ったりしたここは、自分にとって思い入れがたくさんある場所。ここが残っていてくれて良かった」としみじみと言った。

 東日本大震災が発生後、「まずはできることから」と表裏両面から復興支援を続けている。松雪泰子、富司純子、山崎静代らと連名で、同県に義援金1000万円を寄付。本が好きな蒼井は「少しでも小さい子の楽しみを作ってあげたい」と、段ボール数箱分の本を匿名で避難所に送った。献血もした。この日のハワイアンズ営業再開日も多忙なスケジュールを調整し、東京から日帰りで駆け付けた。

 蒼井の稽古場訪問は、現役フラガールを感激させた。フラガール1人ずつと握手やハグを交わした。「(炭鉱町復興で)立ち上がった46年前よりもパワーがいるかもしれない局面にいるのに、みなさん笑顔で、強いなと思いました。『プロだから笑わなくちゃいけない』と先生に教えていただくシーンがありましたが、映画みたいでした。プロですね」と感心した。

 大震災の爪痕は大きい。ハワイアンズの営業再開は部分的なもの。撮影で毎日のように食べたパン屋もつぶれていた。「支援というのはおこがましいけど、一時的ではなく続けることが、日本人全員に課せられた使命。またここに来ようと思いました。行動に起こさないと」。笑顔を絶やさない現役フラガールを見つめながら、笑顔で誓った。【近藤由美子】

 ◆スパリゾートハワイアンズ

 日本で初めてのリゾート施設「常磐ハワイアンセンター」として1966年にオープン。常磐炭鉱(76年閉山)の収益悪化に伴い、炭鉱地下の豊富な温泉を利用した新たな収益源として建設。敷地は東京ドーム6個分。今回は部分的再開で来年1月に全面オープン予定。プールやフラダンスショーを行う「ウォーターパーク」は修復中。セレモニーには40社100人の取材陣が駆け付けた。テレビ朝日系「週末ナビ

 ココイコ!」(土曜午前6時半)の取材で訪れたTOKIO城島茂(40)の姿も。

 ◆映画「フラガール」(李相日監督)

 常磐ハワイアンセンター誕生を題材にした作品。蒼井がフラガールになった炭鉱で働く一家の娘、山崎もフラガールになった炭鉱の娘を演じた。観客動員数125万人を超え、興行収入は15億円を突破。日刊スポーツ映画大賞では作品賞を含む4冠を達成し、06年度の映画賞を総なめに。公開間近のドキュメンタリー映画「がんばっぺ

 フラガール!

 ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~」(小林正樹監督、29日公開)では蒼井がナレーションを務めている。