<連載「気になリスト」(60)>

 テレビではなく、ラジオや有線放送といった耳を使う媒体でリスナーが気になっている新人女性シンガー・ソングライターがいる。6日にミニアルバム「moto(もと)」でデビューしたmoto(24)だ。

 昨年8月、デモテープ(サンプル音源)曲「ビー玉」がラジオ各局で流れ始めて、ニッポン放送が毎日放送する「オールナイトニッポンZERO」がエンディング曲に決めた。12月からデビューアルバムのメーン曲「桜の声」が「ビー玉」に続き「オールナイトニッポンZERO」のエンディング曲に採用された。すると全国のFM各局もこぞって紹介。NACK5は素性も知られていないmotoに1月からレギュラー番組を持たせ、「オールナイトニッポンR」もパーソナリティーに大抜てきした。

 ラジオリスナーたちから「この透明感のある声の持ち主は?」「今年再注目の“桜ソング”の歌手は?」と謎が謎を呼び、発売前の1月の有線の「お問い合わせランキング」で月間2位になるなど、話題になっていった。満を持して、デビュー日前夜の今月5日と翌週12日に、日本テレビ系「音龍門」で2週連続で特集された。顔バレしたばかりのタイミングで、本紙で新聞紙面初登場を果たした。

 「専門学校生時代からバンドやゴスペルグループで歌ってきて、3年前から1人で曲作りからやるようになってました」。ソロで2度目のライブは、東京・高田馬場でほか3組と合同開催にもかかわらず、ライブハウスの客は、わずか3人。文字通り底辺からスタートし、昨年5月に植村花菜を「トイレの神様」でヒットさせた芸能事務所にスカウトされた。

 いち早く目をつけたオールナイトニッポン松岡敦司チーフディレクター(34)は、ゴールデンボンバーやももいろクローバーZを新人時代からプッシュしてきた目利き。「通り一遍の声じゃなく多彩で、アップテンポ曲とバラードのギャップがすごい。ライブを見て『これは』と一目ぼれでした。椎名林檎さんのようなタイプかな」と話す。

 motoは「私の特徴は固定されていない世界観。『桜の声』は、2年かけて完成させたラストのサビの歌い出しに注目してください。震災で生き残った地元岩手の桜の生命力を感じて仕上げました」。「トイレの神様」のように、じわじわ人気が上がってくる気配がする。【瀬津真也】

 ◆moto(モト)本名・大泉慕(おおいずみ・もと)1988年(昭63)7月7日、岩手県生まれ。幼少時からピアノを始め、上京した専門学校生の19歳から都内のライブハウスなどにアマチュア歌手として出演。昨年、現所属事務所にスカウトされた。明日20日に「J-WAVE

 TOKYO

 REAL-EYES

 LIVE

 SUPERNOVA

 VOL.80」にライブ出演。157センチ。血液型A。(2月19日付

 紙面から)

 [2013年2月20日0時7分

 紙面から]日刊スポーツのオススメ