韓国国防省は18日、兵役に就く歌手や俳優らが芸能活動を通じて軍の広報を行う「芸能兵士」制度を廃止すると発表した。同制度は96年に導入されたが、最近は一部の芸能兵士の不祥事が相次ぎ、韓国内で批判が集中していた。

 芸能兵士は国防省が放送するテレビ・ラジオ番組への出演や、海外を含む軍事交流、兵士向けの公演などが任務。正式名称は「国防広報支援隊」で、一般的に現役入隊後に審査を通過した者が芸能兵士とされる。芸能活動経験のある芸能人が合格することが多く、最近では人気俳優コン・ユ、イ・ジュンギ、イ・ドンゴンらが任務にあたった。

 しかし、今年1月に歌手Rain(ピ=31)が芸能兵士として服務中に女優キム・テヒ(33)と密会していたことが発覚。6月には歌手SE7EN(セブン=28)ら芸能兵士8人が地方公演後の深夜に飲酒し、マッサージ店を訪問したことも発覚。一部の芸能兵士による不祥事ではあるが、「一般より優遇されすぎでは」という国内世論が高まっていた。

 これを受けて、国防省は同制度の実態について特別監査を実施し、この日、「芸能兵士に対する管理責任不十分を痛感している」と制度の廃止を決定した。また、SE7ENら8人に対し、携帯電話の所持や、風俗店への出入りなど規律違反をしたとして懲戒処分を科すことも決めた。

 現在、日本でも人気の高いSUPER

 JUNIORのリーダー、イトゥクや俳優イ・ジュニョク、キム・ムヨルら15人が芸能兵士として兵役を務めているが、制度の廃止に伴い、8月1日付で一般部隊に再配置されるという。

 ◆韓国の徴兵制度

 男性は満19歳までに兵役の適性検査を受ける。経歴や健康状態などを総合的に判定される。入隊判定を受けた場合、30歳の誕生日までに入隊しなければならないが、大学進学、家庭事情などにより入隊時期を延期できる。兵役期間は一般的に約2年で、除隊後8年間は「予備役」、40歳までは「民防衛」として定期的に訓練を受け、有事の際は服務義務がある。五輪メダリストやアジア大会金メダリストは特例として兵役免除。02年W杯、06年WBCに代表選出された該当者は一時的に兵役免除の対象となった。