NHK経営委員で作家の百田尚樹氏(58)が22日の経営委員会で、番組批判を展開していた。同局のニュース番組でキャスターが「在日コリアン1世は強制連行で苦労した」などと発言したことに対し、批判的な意見を述べていたことが25日、関係者の話で分かった。

 百田氏が問題視したのは、17日放送の「ニュースウオッチ9」。在日コリアン3世の結婚観などを取り上げた後、大越健介キャスター(52)が「在日コリアン1世の方たちというのは、1910年の韓国併合後に強制的に連れてこられたり、職を求めて移り住んできた人たちで、大変な苦労を重ねて生活の基盤を築いてきた」とコメントした。

 これに百田氏がかみついた。同氏は経営委で「日韓併合直後から強制連行があったように受け取られかねない」「誤ったイメージを視聴者に与えるのでは」などと異議を申し立てた。

 経営委の上村達男委員長代行は「委員による個別の番組への干渉は放送法で禁じられています。一般的な感想ということですね」と指摘したという。

 NHK経営委員事務局は、経営委員会でのやりとりの事実関係については、「議事の内容についてはお答えしていません」としている。百田氏はこれまでも、講演で「日教組は日本のがん」「南京大虐殺はなく、従軍慰安婦はうそ」などと発言し、物議を醸していた。

 ◆放送法と経営委員

 第3条で「放送番組は(中略)何人からも干渉され、又(また)は規律されることがない」と定めた上で、第32条に経営委員の権限について「委員は、個別の放送番組の編集について、第3条の規定に抵触する行為をしてはならない」と定めている。