今年3月まで32年間、フジテレビ系バラエティー番組「笑っていいとも!」の司会を務めたタモリ(69)が、文化活動で業績を挙げた個人や団体に贈られる菊池寛賞を受賞したことが15日、発表された。バラエティー番組の司会者として初の受賞。12月上旬に贈呈式が行われ、副賞として100万円が贈られる。

 「いいとも!」の影響力を再度感じさせる受賞となった。番組が終了した今年3月31日は、東京・新宿のスタジオアルタ前に数千人が押し寄せた。最終回は視聴率16・3%、夜に放送された特大号は28・1%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。終了後は「タモロス」という言葉が生まれた。平日正午の時間帯に、「いいとも!」とタモリを見られないことに喪失感を感じる人が続出した。

 今年62回目を迎える伝統ある菊池寛賞も、タモリと「いいとも!」を高く評価した。同賞を主催する日本文学振興会は「生放送の『笑っていいとも!』の司会を務めるなど、独自の視点を持つテレビ番組の『顔』として日本の笑いを革新した」と、受賞理由を発表した。

 これまで、06年に黒柳徹子とテレビ朝日系「徹子の部屋」が、良質な対談番組を作り続けたとして同賞を受賞したことはあった。しかし、バラエティー番組の司会者としての功績が評価された受賞は初めてだ。

 気負いを感じさせず、それでいて独自の視点を持っているタモリに、オファーは絶えない。フジテレビ系で、宮沢りえと共演するバラエティートーク番組「ヨルタモリ」(日曜午後11時15分)が19日にスタートするほか、9月には巨大災害をテーマにしたNHKスペシャルでも司会を務めた。テレビ朝日系「ミュージックステーション」ではミュージシャンとトークし、同局系「タモリ倶楽部」は斬新なテーマと切り口で、さまざまな社会現象を取り上げている。硬軟取り混ぜたタモリの魅力があらためて評価された形となった。

 ◆菊池寛賞

 作家、ジャーナリストで文芸春秋を創設した菊池寛氏の、文学、映画、演劇、新聞、放送、出版など、各方面に残した功績を記念する賞で、第1回は1953年(昭28)。これまで芸能界からは84年に脚本家橋田寿賀子氏、87年に俳優笠智衆さん、99年に劇作家井上ひさしさん、00年作詞家、タレント永六輔、02年歌舞伎俳優松本幸四郎、03年漫才コンビの夢路いとし・喜味こいしさん、05年演出家蜷川幸雄さん、07年歌舞伎俳優市川団十郎さん、12年俳優高倉健、13年にサザンオールスターズらが受賞。