芸能プロダクション、ホリプロのオーディション「第39回ホリプロタレントスカウトキャラバン」の最終審査が3日、都内で行われ、福島出身の生田若菜さん(20)がグランプリを獲得した。今年のテーマは「即戦力」。伸びのある歌声と物おじしない度胸を見せ、応募総数3万8628人の頂点に立った。

 名前を呼ばれた瞬間、生田さんは右手で口を押さえた。肩を震わせ、両目からボロボロと涙をこぼした。直後は「ビックリしてます…」と放心状態だったが、すぐに表情を引き締めた。

 「私の目標は、歌もお芝居もできる人です。歌う時は歌でみなさんを感動させて、お芝居をする時は、また別の表現方法で、見ている人を感動させたいです」

 力を込めて宣言し、深々とお辞儀をした。

 歌唱審査ではChe’Nelleの「Believe」を歌った。歌い出しから深みのある声で聴かせ、サビの高音も伸びやかに歌った。演技審査でも、喜怒哀楽の表情を演じ分けた。歌唱後には、司会者から手応えを問われ、「緊張しましたが、ステージに立ったらすぐに気持ち良くなりました。300点です」と即答。初めて受ける取材では、「英語が好きなので、いつかは英語で歌ってみたい。演技も、海外とかで英語でできるようになれば…」と夢を語った。

 今年のオーディションのテーマは「美しく、唱う、女優」と書いて、「美唱女」。例年は20歳前後が募集年齢の上限だが、即戦力を募るため25歳まで引き上げた。20歳10カ月の生田さんは、昨年の佐藤美希(20歳4カ月)を抜いて史上最年長のグランプリ。近い将来の女優デビュー、CDデビューも決定しており、実行委員長のホリプロ菜花耕平氏は期待を込めて言った。「即戦力で、一番キラキラ輝いた人となれば、満場一致で生田でした。とにかく歌唱力が抜群。最終的には、ドラマで主演を張って、主題歌も歌うようになってもらいたい」。

 球界では、今年のドラフトで4球団が1位指名した早大の有原航平投手をはじめ、即戦力選手が注目されている。綾瀬はるか(29)深田恭子(32)石原さとみ(27)ら30歳前後の女優を抱える同社にとっても、20歳の生田さんは理想の戦力補強になりそうだ。【横山慧】

 ◆生田若菜(いくた・わかな)1994年(平6)1月14日、福島県生まれ。東日本大震災で被災。高台に住んでいたため、家族全員は無事だった。高校時代にグラビアなどタレント活動の経験があり、現在は神奈川県在住で、同県内の女子大文学部3年生。好物は中華料理、ラーメン。1人で焼き肉やラーメンを食べに行くことも。155センチ。血液型B。