1月3日にがんで死去したやしきたかじんさん(享年64)の謎に包まれた、最後の2年間の闘病生活全容が、今日7日発売のノンフィクション本「殉愛」(幻冬舎)で明らかになる。闘病を支えきりながら、これまで沈黙を貫いていた妻の家鋪(やしき)さくらさん(33)の証言などを「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」の人気作家百田尚樹氏(58)がまとめた。

 たかじんさん最後のシングル「その時の空」(10年)を作詞して、3月の「やしきたかじんをしのぶ会」発起人に名を連ねた秋元康氏は、発売前に「殉愛」を読んでいた。日刊スポーツの取材に「読んで号泣しました。いろいろなことを思い出しました。やしきたかじんは幸せな男だと思いました。これだけ愛し愛されて、最後を迎えられたのですから」と感想を語った。

 出会いは81年。文化放送「セイ!ヤング」の構成作家だった秋元氏は、パーソナリティーだったたかじんさんの都内宅まで押しかけて「作詞家になりたいんです」と直訴し「全然アカン。ポエムというより、文章や」とダメ出しされていた。秋元氏はこれを発奮材料にして作詞家として大成功した。後年、たかじんさんは「あの時、秋元の才能を見抜けんかった。惜しかった」と笑い話にしていた。特別な間柄だった。