ホステス経験を理由に日本テレビのアナウンサー内定を取り消された東洋英和女学院大4年の笹崎里菜さん(22)が、アナウンサーとして入社できる見通しになった。地位確認を求めた民事訴訟で7日、東京地裁で和解勧告が行われた。協議の場で、4月入社を前提にした和解内容の擦り合わせも行われた。第2回口頭弁論が予定されている今月15日よりも前に、採用が決まる可能性も出てきた。

 内定取り消しから一転、日本テレビが採用に向けて動きだしていることが分かった。東京地裁でこの日、笹崎さん側の緒方延泰弁護士と、同局側の弁護士が出席した話し合いが約1時間行われた。終了後、緒方弁護士は「私どもが望んでいる方向で行くと思う」と感触を述べた。さらに「笹崎さんが女性アナとして活躍できる和解案が提示されれば、両者受け入れるだろう」と見通しについても述べた。

 話し合いでは、4月入社を前提にした研修スケジュールや、精神的ケアなどについても検討された。今後は、同期の内定者に比べ遅れている研修内容など、アナウンサーとして働いていくことができる条件なども煮詰められ、和解勧告案として提示される見込みだ。

 「2011ミス東洋英和」の笹崎さんは、一昨年9月に日本テレビアナウンサーの内定を受け、入社前研修を受けた。昨年3月に東京・銀座のクラブのアルバイト経験を報告したところ、同5月に内定を取り消された。同局は取り消しについて「アルバイトについて虚偽の申告をした」と「アナウンサーに必要な清廉性に欠ける」ことを理由に挙げていた。

 笹崎さんは当初の予定通りの今年4月入社を求めて、日本テレビを相手に「地位確認請求」の訴訟を起こした。昨年11月14日に第1回口頭弁論が行われ、同12月26日には和解勧告の1回目の話し合いが行われた。「アルバイトの虚偽申告」については、一昨年9月の内定の時点では、笹崎さんは就職セミナー用の書類のみで、正式な採用選考書類を提出していなかった。同局側も昨年12月の時点で「虚偽申告はなかった」と認めていたこともこの日、判明した。

 「清廉性」については、15日の口頭弁論で同局が主張すると思われたが、急転直下の和解となれば論議されずに終わる。緒方弁護士は「清廉性は企業の好みの問題。企業カルチャーとしてあるのはいいが、事前に掲げていなかったから問題が起きた」と指摘した。

 日本テレビ広報・IR部は「現時点でのコメントを控えさせていただきます」としている。