【カンヌ(フランス)=広部玄】第64回カンヌ映画祭の最高賞を競うコンペティション部門に新作「朱花(はねづ)の月」が選出された河瀬直美監督(41)が17日(日本時間18日)、東日本大震災被災地にささげる映画「3・11センス・オブ・ホーム」を製作すると発表した。「国境が違っても同じ気持ちを持ってこの地球に生きているんだ…というメッセージを伝えられる企画になれれば」。

 同作品は世界各国の映画監督約20人の協力で製作されるという。「センス・オブ・ホーム(家という感覚)」をテーマに3分11秒の短編映画製作を依頼。河瀬監督の作品も合わせて約60分の作品として完成させる意向。

 実は河瀬監督がこの企画を考えたのは、わずか10日前だという。「映画監督として何ができるかと考えていて、何もできない日々が続いた。その時に『命が元気になることをしたい』と考えたのがこの企画の始まり」と話した。思いは世界各国の監督たちも同じで、急ピッチで準備は進んでいる。

 女優桃井かおり(60)が監督として参加予定のほか、昨年の同映画祭で最高賞パルムドールを受賞したタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督(40)やスペインのビクトル・エリセ監督(70)ら9人が参加を表明。上映日は、震災から半年後の9月11日で、開始時間も発生時に合わせ午後2時46分。同監督の地元奈良県の寺で奉納上映後、被災地で巡回上映したいという。