女優深津絵里(40)が、顔が割れる女パラサイトを演じることが19日、分かった。1990年(平2)~95年に「月刊アフタヌーン」(講談社)で連載された岩明均氏作の漫画「寄生獣」の映画化が決定。寄生獣の「パラサイト」に寄生された主人公の高校生役に、若手人気俳優の染谷将太(21)が抜てきされ、深津が女パラサイト役、ヒロインの女子高生を橋本愛(17)が演じる。山崎貴監督がメガホンを取り、来年1月にクランクインする。同12月にPART1、15年にPART2が公開予定で、アニメ化も見据えた大型プロジェクトとなる。

 「寄生獣」は、米ハリウッドが映画化を諦めた経緯がある。91年のジェームズ・キャメロン監督「ターミネーター2」などに多大な影響を与えた漫画として、連載終了後もハリウッドのプロダクションが原作権を獲得した。しかし、パラサイト=「地球が環境破壊を続ける人間を淘汰(とうた)するために生みだされたもの」というテーマ性を描くことに苦心。ついに今年、所有17年にして原作権を手放したところ、数十社による争奪戦が始まり、東宝が原作権を獲得するに至った。

 この経緯も踏まえて東宝側は、PART1=「人間とパラサイトが戦うアクション」、2=「人間が自身の存在を問う人間ドラマ」とし、それぞれ単体で成立する作品を目指す。東宝の川村元気プロデューサーは「製作することになり、今ではハリウッドから『リメーク権をくれ』と連絡があります」と胸を張る。

 注目は、難役に挑戦する深津だ。10年「悪人」でも深津を起用した川村プロデューサーも、“ダメ元”でのオファーだったというが、深津は原作を読んで「顔がどうやって割れるのかしら?」と言い、出演を決めたという。今では「覚悟を決め過酷な試練と喜びに向かい、原作に敬意を込めひたすら頑張りたい」と意気込んでいるという。

 ◆「寄生獣」

 海辺に寄生獣パラサイトが流れ着き、人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を捕食する事態が発生。高校生の泉新一(染谷)もパラサイトに襲われるが、脳は乗っ取られず右手に寄生される。そのパラサイトとの間には次第に友情に近い感情が生まれるが、同級生の里美(橋本)にもパラサイトの魔の手が迫る。新一は寄生獣と化した母を殺害。その中、高校教師の田宮良子(深津)が現れる。彼女はパラサイトながら人間の子どもを宿していた。