乃木坂46と欅坂46の「坂道シリーズ」を担当する日刊スポーツ文化社会部横山慧記者が、メンバーの素顔を随時報じます。今回は卒業する深川麻衣(25)について。

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 深川麻衣は、初心を忘れない。

 昨年11月、取材で深川に「常に心掛けていること」を聞いた際、「初心を忘れないことです」という答えが返ってきました。付き添っていた女性マネジャーさんが、深くうなずいて「確かに~」と納得していたのを覚えています。

 「初心を忘れない」と言うのは簡単ですが、実践し続けるのは意外と難しいと思います。アイドルに限らず、メディア出演が増えるにつれ、目に見えて調子に乗ったり、てんぐになったりして、たたかれ、消えていったタレントは数多くいます。もっとも、乃木坂46にはそういったメンバーが少ない印象ですが、今や群雄割拠のアイドル界で確かな地位を築きましたし、多少なりとも「変わって」しまうのも無理はないと思います。自分では変わっていないつもりでも、周囲の対応は自然と変わっていくし、デビュー当時とは比較にならないくらい仕事も増え、当然、待遇も良くなっていくからです。

 それでも、前出のマネジャーは「確かに、本当に変わらないね。ずっと変わらない」と不思議そうに話していました。深川は「そうですかね~?」と首をかしげながらも、ニコニコと笑っていました。単純な優しさだけでなく、スタッフや関係者から見ても「変わらない」ところが、ファンやメンバーから「聖母」と呼ばれるゆえんなのでしょう。

 15日に静岡・エコパアリーナで行われたコンサートでも、メンバーたちから深川の「聖母」エピソードが次々と明かされました。中でも、中元日芽香(20)の明かしたエピソードには、会場内にもどよめきが走りました。

 「去年の夏、握手会の会場に、マネジャーさんがワンちゃんを連れてきていたんです。みんなで外でワンちゃんとわいわいしていたら、蚊が飛んできたんです。みんなが、どうしようって慌てていたら、まいまいが蚊のほうに手を出して、『私に止まれ~っ!』って言ったんですよ」

 秋元真夏(22)らメンバーたちは、「えええ~!? 優しいってレベルじゃないじゃん!」と驚いていました。「異例」と言ってもいいほどの優しい心の持ち主なのかもしれません。

 深川は今日16日に静岡・エコパアリーナで行われるコンサートをもって、グループから卒業します。卒業後芸能活動を続けて、どんなスターになったとしても、変わらない態度と優しさで、ファンやスタッフを癒やしてくれる気がします。【横山慧】