「松坂2世」横浜涌井が完封V/高校野球
<第86回全国高校野球選手権大会>◇29日◇神奈川決勝
横浜(神奈川)の「松坂2世」こと涌井秀章投手(3年)が、決勝マウンドを完封勝ちで締めくくり、3年ぶり11度目の甲子園を引き寄せた。先輩の西武松坂大輔が見守る前で、9回を3安打無失点、9奪三振の力投だった。
涌井は、最後の打者を空振り三振に打ち取ると、マウンド上で両手を高く突き上げた。偉大な先輩の西武松坂が見守る前。主将の村田浩明捕手(3年)は「松坂さんが(98年夏に)ノーヒットノーランで全国優勝を決めた時の配球をまねしました」と、最後の球にスライダーを要求した。松坂らが達成して以来の全国優勝を狙うという意気込みにも見えた。
決勝の舞台に立った涌井は、これまでと全く別人だった。初回、先頭打者に二塁打を浴び、今大会の立ち上がりの悪さを予感させたが、落ち着いて後続を断った。「このピンチを無失点に抑えて、完封できると思った」。その言葉通り、3回の2死満塁を三振で、5回1死二、三塁のピンチも連続三振で切り抜けた。「小倉部長(清一郎=59)に『甲子園に行くなら防御率2点台を、1点台にしておけ』と言われたので」。狙い通りの完封勝利をやってのけた。
AAA選手権(高校野球の世界大会)の日本代表監督を務める渡辺元智監督(59)のためにも優勝を狙った。「高校野球に携わってきて最もうれしい優勝、感無量です」と振り返った渡辺監督は「春の関東大会を制し、夏に向け最後の仕上げをという矢先に、脳梗塞(こうそく)で現場を離れてしまって…」。ナインは交代で病床の監督を見舞い「甲子園に連れて行こう」と、監督不在の間に1つになった。
涌井は秋の県大会で横浜隼人に敗れ、母たつ子さん(44)が「普段弱音を吐かないのに、相当ショックを受けていたみたい」というほど落ち込んだ。悔しさをバネに松坂の高校時代と同量の下半身トレーニングに励み、全国最激戦区を制した。「借りを返したかった」そのライバルは、目前で敗れたが「お前らのために甲子園に行くよ」と横浜隼人・大野健太主将にメールを送り、優勝を自らに課した。「やるからには日本一になりたい」。涌井が話した夢を実現させる舞台は整った。
[2004/7/29/09:35 紙面から]
写真=完封勝利の涌井(左から3人目)に駆け寄り喜ぶ横浜ナイン
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