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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/07/10付紙面より 過去のコラム一覧へ

1リーグに発展願う

野球部 中村泰三記者

 6月30日付にこの欄で書いた「プロアマ統一組織をつくろう」に対して、いくつかのご意見をいただいた。パ・リーグファンの情熱を訴える人、日本シリーズのだいご味を語る人、球界縮小を否定する人…。そのすべてに共通するのはプロ野球界の「2リーグ制の存続」を訴えるものだった。

 7日のオーナー会議で近鉄、オリックスに続く合併球団の存在が、西武堤オーナーによって明らかにされ、球界再編、1リーグ制移行が既成事実のように進み始めた。労組プロ野球選手会は早急な結論に待ったの声を上げるなど、急速な動きに反対意見は多い。

 それでも、あらためて記者個人の意見を述べるならば、私は1リーグ制移行を支持する。10チームによるリーグ運営に魅力を感じるのではなく、この変革は日本の野球を見直す、大きなきっかけになる。

 現状の2リーグ制を存続させても、球団、特にパ・リーグの赤字体質は改善されない。現状の対戦カードでは日々の入場収入、年間予約席の売り上げも期待できず、放送権収入もままならない。フランチャイズ球場の看板広告にしても、その価値を高めている球団への収入は乏しい。

 例えば横浜スタジアムでは、球団の広告看板収入は0円。球団はシーズン総入場収入の25%(約8億円)を球場使用料として支払い、球場からは販売協力費(選手強化費)として3億円が還元される形を取っている。横浜の峰岸球団社長は就任当初から「球団があるから広告の価値も出る。その対価はいただけるように改善したい」と話していたが、依然としてこのシステムは変わっていない。だが、横浜スタジアムから横浜球団が消えればどうなるだろう。地元が反対運動を行う以前に、客観的に見て改善すべき点は山積している。

 2リーグの終えんとともに、球団を「広告宣伝」と位置付ける時代は終わった。球団がオーナー企業に黒字をもたらす、もしくは球団単独で黒字を計上できる体制を築かなければならない。今回の再編はこれまでのしがらみを断ち切り、球団運営をいま一度、見つめ直すきっかけになるはずだ。

 現在の野球協約にある球団譲渡に伴う30億円の参加料を仮に撤廃しても、球団経営が必ず億単位の赤字を生むものであれば、買収しようとする企業もなくなる。今回の急速な動きは、現状の球団、球界運営に対する数名のオーナーたちの不安が地中奥深くでくすぶり続け、火山のように噴火した、ともいえる。78年に球団を買収した西武の堤オーナーは、このときから1リーグ制プランを抱いていた、といわれる。

 銀行や一般企業の合併で、ここまで騒がれることはないだろう。これもプロ野球が国民に認知されているからこそ。球界を縮小するのではなく、存続、発展させるための1リーグ制移行。野球協約にある「野球が社会の文化的公共財」となり続けるために、12球団のオーナーたちが選んだ道である。

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   column@nikkansports.co.jp
◆中村泰三(なかむら・たいぞう)
 93年西部本社入社。競輪担当後、94年オフからダイエー担当。02年に東京本社野球部へ出向。現在はプロ野球担当。福岡出身、33歳。
中村記者の写真

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