日本選手団の旗手は、陸上10種競技の右代啓祐(30=スズキ浜松AC)が務めた。

 右代は「ジャポン」のコールに沸く観客に、ポールから離した右手を振って応えた。長時間の開会式出席に及び腰の選手もいる中で「この先を考えると、旗手になれる機会はメダルをとるよりも難しいものじゃないか。非常に光栄」と快諾。この日、大役を終えて「旗手として今日あらためて喜びをかみしめながら行進した」と話した。

 6月4日、棒高跳びの練習中にポールが折れた。左膝に裂傷を負い、左手親指の関節と関節の間を斜めに骨折。暗い顔で都内の自宅に帰ると、長女そらちゃん(2)に「どうしたの?」と聞かれた。「けがしちゃった」と答えると、娘はアンパンマンのばんそうこうを2枚持ってきた。左膝が腫れて1人で風呂に入れなかったが、ちほ夫人(30)に「体を洗ってあげますよ」と言われた。

 3日後に3時間かかる手術を受け、チタン製のプレートとボルト7本が入った。全治3カ月。手術翌日から体を動かし、酸素カプセルに1日2時間入った。1カ月半で回復し「超人ですから」と胸を張る。「コンディション調整もあるけど、逆に『右代という選手はどんな体力をしているんだ』と思われるパフォーマンスをリオでしてやる」。196センチ、95キロの体で堂々と闊歩(かっぽ)した。【益田一弘】