<熱血秋田塾・九州キャンプ編/G大阪>

 18年W杯ロシア大会を狙う若手を直撃する「熱血秋田塾・九州キャンプ編」。第2回はG大阪のFW宇佐美貴史(22)とMF井手口陽介(18)を、キャンプ地の宮崎に訪ねた。

 ご存じの通り、G大阪は昨季3冠を達成した。それまで唯一の3冠は自分の現役時代(00年鹿島)だったので、複雑な気持ちを少し抱えながらも、見に行かずにはいられなかった。その中心にいた宇佐美選手を。

 話を聞くと、悔しがっていた。シュート35本を放ちながら1点止まりで敗れたアジア杯UAE戦(準々決勝)を「もし自分がいたら」と重ねていたという。そこから導き出した今季の目標を教えてくれた。「『うまいプレー』『美しいゴール』はいらない。泥臭くても、体のどこかに当ててでも点を取る選手になる」。

 DF目線で言うと、ゴンさん(中山雅史氏)やスキラッチ(元イタリア代表)のようなタイプが最も嫌だった。実は、彼に足りないと思っていた点がそこ。スーパーなゴールを決める一方で「怖さ」にムラがあった。こぼれ球を押し込むには、予知能力、動きの量を増やすことが必要になる。Bミュンヘン時代の話もしたけど「技術レベルはJの方が高い。でも、練習でできないプレーを試合で出してくる。気持ちの差」と言っていた。これらが彼に備われば、日本で誰も止められないFWになるだろう。

 もう1人は井手口だ。18歳だが、飛び級でU-22代表に名を連ねるボランチ。宇佐美が「怪物」と認めたという才能で、5日の練習試合・蔚山現代(韓国)戦を観戦したら直接FKを決めていた。まだ高校3年でFKを任された上に決めるなんて。神経がずぶとい。

 攻守のバランスの均整が取れている。遠藤のように、スルスルとトップ下まで上がっていく嗅覚と決断力、今野のように、危険地帯を察知して未然にピンチを防ぐ守備。すべて」備えている。遠藤と今野を足して2で割ったような選手。まだ代表2人の壁は高いけど「バックアッパーで終わりたくない」と負けん気も強かった。今は遠慮がちだけど、信頼をつかめば課題の世代交代を一気に進められる素材。日本代表の新監督の下で光り輝いても不自然ではない。(日刊スポーツ評論家)