世界一を決めるW杯の出場チーム数が26年大会(開催地未定)から、一気に増えることになりました。

 現行の32チームから、1・5倍の48チームへ。国際サッカー連盟(FIFA)に加盟している約200の国と加盟国のうち、ざっと4分の1が世界一を争うひのき舞台に立つことになります。

 予選は各大陸ごと行われ、それぞれに割り当てられたチーム数を争う方式でこれまで通り行われます。数字上、これまで世界で32番目までに強いチームが出ていた大会に、33~48番目のチームも加わることになります。

 出場国の力の差が広がり、試合の質、レベル低下を懸念する声もあります。特に大会序盤、力の差のあるチームの対戦では、それが心配されます。

 ただ、個人的には、それを上回る魅力が生まれるような気がしています。

 欧州選手権(通称ユーロ)も、昨年16年のフランス大会から24チームへと拡大されています。その前までは16チームで行われていました。大会の拡大は、時代に沿ったものともいえます。

 拡大された昨年のユーロでは初出場のウェールズが躍進し4強入りしました。Rマドリードの快足ウイング、FWベールがけん引。ベールはレアルでの活躍と同じように、代表でもその実力をいかんなく発揮していました。

 小国アイスランドも初出場で決勝トーナメントに進出し、同1回戦で強豪イングランドを下すなど、魅力十分の戦いで欧州を驚かせました。

 チャンスが広がることで、これまではチーム力の問題で、どうしても世界のひのき舞台に立つことができなかった世界的選手や、まとまりを武器に戦う伏兵チームにも新たな可能性が生まれるはずです。その存在を世界に知らしめることができ、世界中のサッカーファンが、新たな喜びを発見することにもつながるでしょう。

 日本にとっても、予選突破のハードルが下がることは良いことといえるでしょう。ただ、順当にいけば26年大会では8大会連続出場を狙う“常連国”となっているであろう日本が、ここで喜んでいてはいけないのかもしれません。

 この決定で、今後、W杯の世界がより身近になると思い、楽しみに9年後を待ちたいと思います。その時、自分がどこで何をしているのかも含めて…です。

 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本サッカー協会などを担当。