<国際親善試合キリン杯:日本1-0コートジボワール>◇24日◇豊田
怒った。突き飛ばした。日本代表の岡田武史監督(51)が、「オレ流」攻撃サッカーで快勝した。開始から積極的に攻め続け、前半21分にFW玉田圭司(28)のゴールで先制。その後も体を張ったプレーでコートジボワールを圧倒し、1-0で勝利を収めた。岡田監督自ら試合中に相手選手ともみ合うなど戦う姿勢を貫いた。消極的なサッカーで惜敗した3月のW杯アジア3次予選バーレーン戦から大幅に先発メンバーを入れ替えて、岡田ジャパンが戦う集団になって再スタートを切った。
岡田監督がアーセナルのMFエブエに猛然と突っかかった。前半37分、DF駒野がピッチ際でエブエのタックルを浴びて転倒した。指揮官はベンチを飛び出して主審に抗議した。その目の前に当事者のエブエが、両手を出して立ちはだかった。その瞬間、51歳の監督の顔色が変わった。「ノーッ」と叫ぶと、右手で24歳のMFの左肩を突き飛ばした。想定外のハプニングに、会場は一気に白熱した。
この激しさ、厳しさこそが「オレ流」の真骨頂だった。新たなチームに求めていたものだった。「1回でボールを取れるなんて思ってない。簡単にあきらめるなと選手には言った。日本の選手は『ああだめだ』となってしまいがちだが、そこに精神的な強さ、タフさを持ってくれないと」。指揮官のその言葉は、選手たちにも深く浸透していた。
キックオフと同時に積極的に攻めた。パスもドリブルも前へ。高い身体能力を誇る屈強な相手に、真っ正面から勝負を挑んだ。前半21分、その前への意識がゴールにつながった。右サイドからの長谷部のクロスに、2トップの大久保と玉田が全力で飛び込んだ。2人のマークを引きつけた大久保の後方から、玉田が先制点をたたき込んだ。その後も攻め続けた。体を張って守り続けた。
3月のW杯アジア3次予選バーレーン戦で消極的なサッカーで自滅した。その直後に「オレ流」への転換を宣言した。「考えて走る」オシム流から一転、守備での細かい約束事を徹底させた。メンバーも大幅に入れ替えた。この日は松井、長谷部を中盤の軸に据え、エースFWの高原を外し、ドリブルを武器とする玉田を先発起用。バーレーン戦から実に7人を入れ替えた。
思い切った改革は、選手たちの意識も変えた。FW大久保は「監督がやりたいサッカーをやれば強くなる。今回はやってやるという気持ちが強かった」と振り返った。DF中沢は「前からの守備の意識が高かった。こういうプレーだと後ろも守りやすい」と手応えを感じていた。
前半終了と同時にエブエが謝罪にきた。岡田監督も「アイム・ソーリー」と答えて肩を抱き合った。その対応にエブエは「うれしかったよ」。しかし、岡田監督は試合後、にこりともせずに振り返った。「(主審に)プレーについてファウルを取らなかったと言っただけ。けんかしたとか、そんなことではない」。
本番はあくまで6月に再開する3次予選。会見でコートジボワールの記者から「相手は主力7人も欠けていた。この結果はあなたの励みになるのか」と聞かれた岡田監督は厳然と答えた。「コートジボワールとはW杯予選で勝負しているわけではない。すべては予選へのテスト。勝ったことはうれしいが、それがすべてではない」。オレ流の闘将宣言でもあった。【井上真】

